３年ぶりの有観客試合を豪快なドライバーで盛り上げる鈴木亨
◆男子プロゴルフシニアツアー ファンケルクラシック 最終日（２１日、静岡・裾野ＣＣ＝６９８５ヤード、パー７２）
初日から首位の鈴木亨（５６）＝ミズノ＝が５バーディー、１ボギーの６８で回り、通算１１アンダーで完全優勝を飾った。昨年のいわさき白露シニア以来、シニア６勝目。ビッグトーナメントを制して賞金ランクもトップに浮上。歌手、モデル、女優として活躍する長女の愛理（２８）にも負けない存在感を見せた。３打差の２位はタイのタワン・ウィラチャン（５５）＝ＳＩＮＧＨＡ＝。
「体はボロボロですよ」と言いながらも、ここ一番の豪打は超一流だった。１０番パー５。５６歳の鈴木は残り２４５ヤードから３ユーティリティーで２オンに成功。イーグルは逃したが、楽々のバーディーを奪い、勝利を決定づけた。シニアのビッグトーナメントを６度目の出場で初制覇。同時に賞金ランクトップに躍り出た。「家族のために頑張っている」という鈴木の本領を発揮する勝利だった。
歌手の長女・愛理はデビュー当初「鈴木亨の娘」と紹介されることが多かったが、今では「鈴木愛理の父」と呼ばれることも増えた。まな娘の活躍はうれしい限り。「娘はインスタで優勝を上げてくれると思うよ」と目尻を下げた。
ティーチングプロを目指す長男の貴之さん（２５）は現場で父の優勝を見届けた。「いいところを見せられた」と胸を張った。
「ウチは家族４人で一つ。その家族をまとめてくれているのが女房です」とプロゴルファーでもある妻・京子（５４）に感謝する。「早く家に帰って女房に会いたいですね」と鈴木は照れることなく話した。
初日から首位を譲らない完全Ｖ。そして、優勝会見では家族愛を堂々と語った。現在、愛理が歌うアニメソング「ハートはお手上げ」がヒット中。今大会では全選手が“鈴木亨にお手上げ”だった。（竹内 達朗）
◆鈴木 亨（すずき・とおる）１９６６年５月２８日、岐阜市生まれ。５６歳。小学生からゴルフを始める。８５年に愛知・愛工大名電高から名門の日大に進学。３年時の８７年に日本アマ優勝。８９年４月にプロ転向。９３年にジュンクラシックで初優勝し、レギュラーツアーで通算８勝を挙げた。レギュラーの生涯獲得賞金は８億２２１７万９８０１円で歴代２２位。シニア通算６勝。家族はプロゴルファーの妻・京子、歌手の長女・愛理、長男・貴之さん。１７８センチ、８０キロ。