稲見萌寧がプロ入り後ツアー100戦目で初の連覇 2差2位から四つどもえ制し「めちゃくちゃうれしい」


優勝副賞のゆめぴりかの米俵に抱きつく稲見萌寧(カメラ・小泉 洋樹)

優勝副賞のゆめぴりかの米俵に抱きつく稲見萌寧(カメラ・小泉 洋樹)

◆女子プロゴルフツアー ニトリレディス 最終日(28日、北海道・小樽CC=6655ヤード、パー72)

 2打差2位から出た昨季賞金女王の稲見萌寧(23)=Rakuten=が3バーディー、1ボギーの70で回り、通算9アンダーで6月のリシャール・ミルヨネックスレディス以来の“おかえりV”。プロ入り後、節目のツアー100戦目で自身初の同一大会連覇となる今季2勝目、通算12勝目を飾り、ポイントランクでの年間女王争いに加わった。山下美夢有(みゆう、21)=加賀電子=が7アンダーの2位タイで同ランク首位となった。

 稲見は13番のバーディーで、この日初めて首位に並んだ。4人が並ぶ大混戦。勝負を分けたのは最も難易度の高い16番だ。吉田、藤田が先に崩れると同じ最終組の山下と一騎打ちに。第3打を50センチに寄せてパーセーブした稲見に対し、山下がボギーで勝負あり。「ツアートップの難関コースで、海風が難しい中、連覇できてめちゃくちゃうれしい」と、84日ぶり今季2勝目をかみ締めた。

 プロでのツアー100戦目で自身初の大会連覇。ディフェンディングチャンピオンという立場に「重圧も感じていた」というが、「“記念”の試合で勝てた。耐えながら楽しくできた」と喜んだ。勝因を「ショットがだいぶ良い時に戻っている」と分析。数週間前からスイングを修正し、「テイクバックからダウンまでがきれいになった」と、同行する父・了(さとる)さん。ドライバーの飛距離は以前より約10ヤード伸び、攻めやすくなった。今週はプロコーチの黒宮幹仁氏(31)をキャディーで起用し、息も合っていた。

 優勝スピーチでは「今年は調子が上がらず、勝ちきれない状態が続き、もがいていた。努力は報われるというのを証明したいと必死に練習を頑張って、成果が出て良かった」と胸を張った。昨季9勝を挙げ、賞金女王を獲得した。今季は春先にトレーニング面を見直すなど、「全体的にバラバラになり、ずっと悩んでいたけど一つ一つ解決した」。一歩ずつ階段を上り、2勝目をつかんだ。

 年間女王を争うポイントランクでは300ポイントを加え、順位は3位だが、首位の山下に約113ポイントまで迫った。昨年も小樽の地で勢いをつけ、国内メジャー奪取から頂点に駆け上がった。「毎週優勝争いをして、なるべく勝ち続けるのを目標にしたい」。強気なメンタルも復活し、秋の陣へ実力者が上昇気流に乗った。(岩原 正幸)

 ◆稲見 萌寧(いなみ・もね)1999年7月29日、東京都生まれ。23歳。9歳でゴルフを始め、2016年にナショナルチーム入り。18年のプロテストに一発合格。19年にツアー歴代最高のパーオン率78・2079%を記録。20―21季は9勝で賞金女王に輝く。通算12勝(メジャー1勝)。昨夏の東京五輪で銀メダル獲得。166センチ、58キロ。

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