「ゴルフのカガク」武藤一彦の体験ルポ 2022年10月6日
サイエンスを知ればゴルフはもっと楽しくなるーNOMON主催の第1回「ゴルフのカガク」講習会(日本プロゴルフ協会、報知新聞社協力)が9月27、28の両日、茨城・ザ・ロイヤル・GCで行われた。
ゴルフの動きをスイング、リズム、アドレスからフィニッシュまでの重要ポイントとし、腹式呼吸でフィジカル、瞑想や科学的トレーニングでマインドを強化し上達につなげようというユニークな取り組みには、一般公募からのアマチュアゴルファーと、7人の講師、4人のプロの元、充実した2日間を過ごした。
「よいスイングをいち早く身に付けるスイングメカニック」、「潜在能力を引き出す方法」「呼吸法とコンデションつくり」など第1日はクラブハウス内の大ホールの座学でスタート。受講者は安定した姿勢作り、腹式呼吸の重要性など新しい世界をのぞいた。伝説の名手たちの技術、経験を手本に伝承されてきたゴルフ技術は、近年、マシーンを使い理想のスイングがいち早く継承される時代へ。受講者には姿勢をちょっと変えるだけで体の動きがスムースに変化することは驚きだった。
米・サンノゼ州立大卒、米ゴルフマシーン公認プロの木場本知明氏が日本最初のゴルフィングマシーン公認プロとして特異な存在。「右ひじの使い方ひとつにもスイングタイプによって違いがある」とこんな事例を紹介。「ゴルファーはスインガーとヒッターの2種類にわかれ、手や体の使い方は全く違ってくる。例えばスインガーは、ダウンスイングで右ひじは扇であおぐように使い、ヒッターは右ひじをピストン運動、直線的に使います」とずばり指摘する。インパクト一つとっても右ひじの位置に大きな違い。うんちく?いや、これが近代ゴルフ技術の常識。自分の体をマシーンとして使う。このコーチングは今の米レッスン界の主流、と言われ受講者は納得。
講義は平松良康トレーナーによる腹式呼吸法。狩野理延氏の「潜在能力を引き出し方」など、どれも受講者の脳裏にインパクトを与えた。
その後、レンジで講師、プロも交えての打球練習は何やらプロ気分、新しい感覚で新鮮だった。
第2日はプロによるレッスンとラウンド。ユーチューブでトラックマンを活用して人気の石井良介プロとはレンジでこんな出会いが。練習レンジでうまく打てず苦労していると「クラブを持たず、両手をだらりと下げたアドレス、その左手の位置でクラブを握り、右手を添えアドレス。はい、それでバックスイングしてショット!」
その通りに打つと、なんと球はまっすぐ、アイアンもドライバーも別人のように打ててびっくりした。体をマシーンとするとクラブは同じように働く。座学の知識が実践に生き、納得があった。
その後のラウンドレッスンは09年、日本ゴルフツアー選手権チャンピオンの五十嵐雄二プロらとラウンドレッスン。前日の座学で知ったスイング、呼吸法などの実践はまさに”目からうろこ“の驚きとなって受講者に跳ね返った。自分がどのタイプかがわかれば迷うこともなかった。前日の講義で体のメカニックや呼吸の仕方を知ったことで迷いのないラウンドができ、気持ちがよかったものだ。
サイエンスを知ればゴルフはもっと楽しくなる。「ゴルフのカガク」講習会。次回は山梨・小淵沢CCで。さらに年内にもう1回の計3回 開催。ゴルフレッスン界に新しい時代の到来!と結論してもいい。
武藤一彦(むとう・かずひこ)
ゴルフ評論家。コラムニスト。1964年報知新聞社入社。日本エイジシュートチャレンジ協会理事。青森・夏泊ゴルフリンクス理事長。立大時代はゴルフ部所属。1939年11月20日(82歳)、東京生まれ。
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