「熟女」にへこんだ金田久美子 真面目で優しい33歳の素顔…高木記者が見てきた


通算9アンダーで11年振りにツアー2勝目を挙げ、感極まる金田久美子(カメラ・今西 淳)

通算9アンダーで11年振りにツアー2勝目を挙げ、感極まる金田久美子(カメラ・今西 淳)

◆女子プロゴルフツアー 樋口久子・三菱電機レディス 最終日(30日、埼玉・武蔵丘GC=6650ヤード、パー72)

 “元祖ギャルファー”金田久美子(33)=スタンレー電気=が4バーディー、4ボギーの72、通算9アンダーで逃げ切って、2011年フジサンケイレディス以来、11年189日ぶりの2勝目。88年以降でツアー最長となるブランクVに涙した。かつて「天才少女」と呼ばれたが、けがや不調によるシード落ち、SNSで批判を受けるなど苦闘を乗り越え、執念で頂点をつかんだ。川崎春花(19)=村田製作所=が2打差2位。金田がプロデビューした09年から14年まで担当だった高木恵記者が「見てきた」。

 7月1日だった。金田からLINEが来た。「金田久美子」「熟女」の見出しが、とある新聞に載ったのを見つけたらしい。「立ち直るのに3日かかりそう」。若手の台頭著しい女子ゴルフ界について書かれた記事だった。一回り以上、年上の私は「くみちゃんが熟女なら私はすでにこの世にいない」と返した。「元気出た。まだ、くみはお姉さんね」とハートマークの返信。ギャルファーの自負と共に、ツアーを14年戦ってきた。

 見た目の派手さで誤解されやすいが、心優しくまじめな女性だ。11年の東日本大震災の翌々日、「東京も揺れたようですが大丈夫ですか」で始まるメールが届いた。「募金をしたいんだけど、洋服も送りたいんだけど、どこにすればいいのかわからないんです。教えてください」。5日後、地元の新聞社に義援金を送った。

 腕立て伏せもできなかった女子が、大嫌いなトレーニングを欠かさず続けてきた。「30歳までは絶対ゴルフをやる。それで結婚して子供がほしい。でも、30歳過ぎてもゴルフやってる想像の方がついちゃう」と笑ったことがあった。中学時代から、名古屋の繁華街・栄を歩けばキャバクラにスカウトされたという生粋のギャルは、33歳の今もゴルフを続けている。優勝後、電話した。いつもの低めの声で「やったよ」と言った。初優勝から11年。自分を信じ抜いた強さに涙腺が緩んだ。(高木 恵)

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