山下美夢有、涙の年間女王 史上最年少21歳103日 「たくさんの応援があったからここまで来られた」


優勝カップを手に笑顔の山下美夢有 (カメラ・小泉 洋樹)

優勝カップを手に笑顔の山下美夢有 (カメラ・小泉 洋樹)

◆女子プロゴルフツアー 伊藤園レディス 最終日(13日、千葉・グレートアイランドC=6741ヤード、パー72)

 2打差2位から出た山下美夢有が逆転し、今季4勝目、通算5勝目を飾った。15番で上田桃子、岸部桃子と3人が首位に並ぶ接戦を制した。ツアーの指標が賞金ランクからポイント制に移行した初年度で、21歳103日で史上最年少の年間女王(88年ツアー制施行後)が誕生した。

 ポイントランク1位の山下は1バーディー、ボギーなしの71と粘り、通算12アンダーで逆転優勝。今季4勝目&通算5勝目で、同ランク2位の西郷真央が7アンダーの7位に終わり、21歳103日の最年少での年間女王を決めた。山下はシーズン獲得賞金2億円を突破した。

 岸部桃子が71で11アンダーの2位。首位で出た上田桃子は16番のダブルボギーが響き75とスコアを落とし、10アンダーの3位に終わった。

 昨年大会覇者の稲見萌寧は69で9アンダーの4位。川崎春花らが8アンダーの5位となった。

 原英莉花は、西郷と並び7アンダーの7位。馬場咲希(代々木高)は75と落としたが、2アンダーの30位でアマ最上位となった。

 以下は山下美夢有の優勝スピーチ。

 「皆さまのたくさんの応援のおかげで今季4勝目を挙げることができました。ここグレートアイランドCは新人戦(2位)で悔しい思いをして、去年も上位で戦うことができたけど、今年はずっと優勝したいと思っていました。優勝することができて、とてもうれしい。本当にここまで強くなれたのは、(涙を流しながら)たくさんの応援があったからここまで来られたと思っています。これからも、もっと強くなれるように頑張りたいと思います」

 5歳でゴルフを始めた山下は、最初に大人のドライバーを握ると、きれいな打球を飛ばして父・勝臣(まさおみ)さんを驚かせた。19年11月、プロテストの受験年齢引き下げにより3人の高校生が合格した。21年全米女子オープンの覇者となる笹生優花、今季5勝の西郷真央と、山下だった。まだあどけなさの残る表情で「高校生でプロになれてうれしい。目標は賞金女王です」と大きな目標を掲げた。

 01年度生まれ「21世紀世代」では20年6月のツアー開幕から笹生、西郷が活躍した。自身は3戦連続予選落ちと振るわなかったが、焦らず努力した。転機は同年夏、男子ツアー48勝の中嶋常幸が主催する若手女子の試合に参加し、教えを受けた。オフも尊敬する中嶋の元を訪れ、「アプローチや精神面が変わった」と全体的にレベルを引き上げてくれた。

 父が考案した独自練習法も山下を強くした。ダンベル代わりに水が入った25リットルのポリタンクを持ち上げ、筋力アップとともにバランス感覚を養った。他にも腕力を鍛えるために10メートルのロープを波を打つように振ったりした。

 昨年4月に初優勝。ルーキーシーズン(20―21年)は、賞金ランク13位とトップ選手への足掛かりをつかんだ。

 「複数回優勝とメジャー制覇」を掲げて臨んだ今季。5月のメジャー、ワールドレディスサロンパスカップで完全優勝を果たした。6月の宮里藍サントリーレディス(優勝)から、8月のニトリレディス(2位)までツアー日本人最長となる8戦連続のトップ5入り。初めてポイントランクで首位に立つと、日本女子オープン(3位)まで13戦連続でトップ10入りと安定感抜群だった。前週までのパーオン率74・34%(全体2位)が充実ぶりを示していた。

 王手をかけて迎えた今週の伊藤園レディス。自身が優勝し、西郷が4位以下なら、女王争いが決着するという条件だった。「いい状態でショットも安定している。優勝を目指してやっている。あっという間に残り3試合なので、しっかり結果を出したい」と語っていた。関西から駆けつけ、連日支えてくれた両親が見守る前で、ついに頂点をつかんだ。

 ◆山下 美夢有(やました・みゆう)2001年8月2日、大阪・寝屋川市生まれ。21歳。5歳から父の影響でゴルフを始める。大阪桐蔭高3年時の19年に全国高校ゴルフ選手権で優勝。同年11月のプロテストに合格し、昨年4月のKKT杯バンテリンレディスで初優勝。今年5月のワールドレディスサロンパスカップでメジャー初優勝。ツアー通算5勝。150センチ、52キロ。家族は両親と弟、妹。

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