
16番、ティーショットを放つ山下美夢有(カメラ・豊田 秀一)
◆女子プロゴルフツアー今季最終戦 メジャー▽JLPGAツアー選手権リコー杯 第3日(26日、宮崎・宮崎CC=報知新聞社後援)
3打差2位で出た山下美夢有(みゆう、21)=加賀電子=が1イーグル、4バーディー、1ボギーの67で回り、通算13アンダーで初日以来の首位に再浮上した。西郷真央に並ぶ今季最多の5勝目に王手。今大会で同12アンダー以上なら日本選手初の年間平均ストローク60台となる。史上最年少、21歳103日で決めた今季の年間女王が、記録ずくめのV締めを飾る。2つ伸ばしたイ・ミニョン(30)=韓国=も首位に並ぶ。
最年少女王が、“最高の女王”への扉に手をかけた。山下は首位発進から前日(25日)に陥落したが、スコアを5つ伸ばし再びトップに。「前半にショットが安定せず、流れが良くなかった。我慢して、集中してやっていくうちに勝手にバーディーが来た」。浮つかない言葉には、風格すらにじんだ。
2日目同様、前半でボギー先行。だが、同じ轍(てつ)は踏まない。「リズムを意識してやった」。打ち急がず、間を置き、自分の世界に引き戻した。9、10番の連続バーディーでの挽回までは同じ。前日はボギーだった11番で残り227ヤードから3Wを振り抜くと、2オンに成功。6メートルのイーグルパットを決めきった。「ラッキーな所に落ちてチャンスにつき、イメージした通りに入った。いいリズムを作れた」。今季の女子ゴルフ界の“顔”だけに勝利の女神も軽く後押しし、この日一番の場面を演出した。
大会前に目標と掲げていた年間平均ストローク60台を、この日通算13アンダーで突破した。このまま同12アンダー以上を維持すれば、2019年の申ジエ(韓国)以来2人目、日本選手では初の快挙となる。さらに、山下が西郷に並ぶ今季5勝目をつかめば、最多年間獲得賞金(現在2億502万967円)でも、15年のイ・ボミ(2億3049万7057円)を上回る。
記録ずくめの1年にするため、「しっかり楽しんで、もう最後なので、いい状態で終われたらいいなと思う」。22年を力強く締めくくり、ファンの記憶にも刻む。(宮崎 尚行)
◆2019年の申ジエ 自身開幕4試合目のスタジオアリス女子オープンで1勝目を挙げ、続くフジサンケイレディスで連勝。6月にもアース・モンダミンカップを制し、年間3勝で賞金ランクは3位。出場27試合で2位6回を含む、年間トップ10は1位の18回。パーセーブ率(90.3747)、60台のラウンド数(42)も1位で、平均ストロークは歴代1位の69.9399を記録した。