比嘉一貴、初賞金王 7000万円差でぶっちぎり「小柄言い訳できない誰でもチャンスある」


賞金王を決めた比嘉は、特製のボードを掲げて笑顔(カメラ・谷口 健二)

賞金王を決めた比嘉は、特製のボードを掲げて笑顔(カメラ・谷口 健二)

◆男子プロゴルフツアー カシオワールドオープン 最終日(27日、高知・Kochi黒潮CC=7335ヤード、パー72)

 ツアーメンバーで最も小さい身長158センチの比嘉一貴(27)=フリー=が、初の賞金王に輝いた。今大会は37位に終わったが、今季4勝(通算6勝)で1億8004万1233円を獲得し、ランク2位の星野陸也(興和、1億1014万2457円)に約7000万円差をつけ決着をつけた。C・キム(米国)がツアー新記録の32アンダーで通算8勝目。次週の最終戦メジャー、日本シリーズJTカップ(12月1日開幕・東京よみうりCC、報知新聞社主催)出場の30人が内定した。

 4バーディー、3ボギーの71で終えた比嘉はファンからの「おめでとう」の声援に右手を上げて応えた。「まだ実感がわかないけど、少し肩の荷が下りた。安ど感が大きい」。本格参戦5年目(4季目)で初の頂点をつかみ、激戦から解放され柔和な表情を浮かべた。

 1勝で賞金ランク13位だった昨季から進化した。ラウンド前後の練習量を減らし「体の負担が減った」。今季はショットの指標を示すパーオン率(71・21%)で7位(昨季は26位)と躍進し4勝。月曜日はクラブを握らず、最初は落ち着かず不安だったが「自分のゴルフが分かるようになったからできた」と胸を張る。負傷もなく、終盤まで好調を維持した。「家族で過ごす時間も大きかった」とリラックスできる大切な存在に感謝した。

 これまで執着していた、ヤーデージブックのメモも取らず「気持ちの良いショットをする」と心に決めた。賞金王5回の片山晋呉(49)から「いいものを持っているんだから、自分の感覚でやりなさい」と背中を押された。

 プロ転向した17年のQT(ツアー出場資格を得るための予選会)に失敗し、当初はアジアツアーとの掛け持ち。試合で訪れたバングラデシュでは、屋外に拳銃を持った兵隊が立っているような環境だった。158センチの小さなゴルファーは力をつけ、たくましくなった。最小賞金王に話題が及ぶと「(小柄)だから通用しない、と言っては試合前から負けている。言い訳できないように自分のゴルフをつくってきた。誰でも(成功する)チャンスがある、と見ている方が思ってくれたら」と強調した。

 今季は米下部ツアーの来季出場権を懸けたQTを回避し、国内で賞金王取りに専念した。もともと海外志向が強く「積極的に挑戦したい」。まずは次週、優勝賞金4000万円の日本シリーズJTカップで01年の伊澤利光(約2億1793万円)を超える年間最多賞金額獲得に挑む。(岩原 正幸)

 ◆比嘉 一貴(ひが・かずき)1995年4月23日、沖縄・うるま市生まれ。27歳。10歳からゴルフを始め、本部高では宮里藍さんの父・優さんに師事。東北福祉大では2015年ユニバーシアード団体&個人金メダル。16年日本オープンでベストアマ。18年は賞金ランク60位で初シードを獲得。19年は同14位で、昨季は同13位。趣味はサウナ。158センチ、70キロ。既婚。

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