
プロアマ戦のスタート前、笑顔で記念撮影する蝉川泰果(左から2人目)と専属キャディーとなった中村凜さん(左)(右は佐伯三貴コーチ=カメラ・今西 淳)
男子プロゴルフツアーの最終戦、日本シリーズJTカップは1日、東京よみうりCC(パー70)で開幕する。初出場で今秋に史上初のアマ2勝を達成後、プロ転向した蝉川泰果(たいが、21)=東北福祉大4年=が、米ツアーに本格挑戦する意向を既に固めていることが30日、分かった。23年からスポット参戦し、米ツアーメンバー入りの道を探る。
今年最後の大会を控えた蝉川が、世界進出の野望とともに突き進む。この日までにスポーツ報知の取材に「日本ツアーも出ながら海外の試合に何試合か出て、良ければ海外に行きたい。(東北福祉大の先輩)松山(英樹)さんもいる。向こう(米国)でシードを取る選手になれるように。挑戦したい気持ちがすごく芽生えてきた」と初めて来季の具体的なプランを明かした。
10月の日本オープンで95年ぶりにアマとしてメジャー制覇を果たした後は「30歳までは国内を主戦場に」と話していたが“軌道修正”した。プロ転向直後の11月上旬、大学ゴルフ部の阿部靖彦監督(60)と将来について相談する中、近い将来の米ツアー挑戦へ気持ちが傾いたという。
今夏からの制度変更で、日本男子ツアーの世界ランクへの加算ポイントが低くなったことも海外挑戦の時期を早める決断の一因とみられる。23年は米ツアー(PGAツアー)へのスポット参戦で優勝を目指し、来秋に行われる24年からの米下部ツアー参戦を懸けた予選会受験も視野に入れる。
今大会は、1週間の休養を挟んで出場。プロとしては4戦目となる。大会最年少Vと、メジャー連勝の最年少(21歳327日)での達成を狙う。この日のプロアマ戦ではパー3を除く14ホール中13回、得意のドライバーを握る積極策で攻めた。タイガー・ウッズに憧れるパワーヒッターは、出だしの10番でいきなり300ヤード超のビッグドライブでフェアウェーを捉えるなど順調な調整ぶりだ。
今季活躍したトップ選手30人の戦いへ、「ここまで早く出られると思わなかった。夢に近づいていると思うのでうれしい。週末を良い形で迎え、優勝を狙えるように」と気持ちを込めた。世界に挑む決意を固める新鋭は思いを体現するかのように、日没後も最後の一人になるまで練習に励んだ。(岩原 正幸)
◆松山英樹の米ツアー 現在の米ツアーシード選手は、日本人ではマスターズを含むツアー8勝の松山英樹(LEXUS)だけ。東北福祉大4年だったルーキーイヤーの13年に日本ツアーで4勝を挙げ、賞金王を獲得。同年、スポット参戦した米ツアーの試合で全英オープンで6位など、賞金ランク125位以内相当の賞金を獲得。13年秋開幕のシーズンからツアーメンバーとして本格参戦し、今季(22―23年)で節目の10季目となる。
◆蝉川が大会制覇で達成する記録
▽メジャー連勝 アマとして制覇した10月の日本オープンに続く。1973年のツアー制施行後としては過去に16例あり、アマ&プロでのメジャー連勝は史上初となる。
▽大会最年少優勝 81年大会の羽川豊(23歳363日)を更新する21歳327日で達成。