
18番、ティーショットを放つ石川遼(カメラ・小泉 洋樹)
男子プロゴルフツアーの最終戦、日本シリーズJTカップは1日、東京よみうりCC(パー70)で開幕する。2年ぶり13回目出場の石川遼(31)=カシオ=は2015、19年大会に続く3度目制覇へ意欲を示した。
石川が表情を引き締め、言葉を探した。シーズン最終戦となる今大会の価値を問われると18秒間、熟考。「お祭りという感じは正直ない。むしろ、緊張感が結構ある試合と捉えている」。その年のツアー優勝者や、賞金ランキング上位者のみが出場できる伝統のメジャー。過去12回出場し、2度頂点にも立ったからこそ感じる重みを強くかみしめた。
この大会はトップ10が計9回と好相性。2年ぶりに帰ってきた舞台を、この日はプロアマ戦でコースチェック。「アバウトな感じを求めない(コース)。特にグリーン上は繊細なタッチを求められる。最終戦にふさわしい」と描いた。自らへの期待もある。「3年前とはアドレスした時にイメージする弾道だったり、計算できるリスクも変わって見える。そういうのも楽しみ」。成長した姿で19年以来、史上7人目の大会3勝目をにらんだ。
アマチュア時代に初出場した07年から15年。いまやベテランの域だ。今季は蝉川ら若手が台頭。今大会最年少19歳の長野泰雅(福岡地行)の名前も挙げて、「若い選手がここで、どういうゴルフをするかも見もの。楽しみだし、自分がどう戦うかのモチベーションに感じる」と小躍りした。ただ、勝負は別だ。若手の壁になるかと問われて「はい」と即答。「気持ちはもう、十分すぎるほど優勝争いへ向けてあります。一緒に盛り上げられるように頑張りたい」。丁寧な言葉ながら、先輩の誇りと意地をにじませた。
ここ数年はコロナ禍で観戦人数制限が続く。今大会も有観客で、ギャラリーが間近にいることに感謝する。「見にきて良かったなと思ってもらえる選手でいたい。そういう自分になりたいとは思っている」。ツアーきっての人気者は、まだまだ主役を譲らない。(宮崎 尚行)
◆石川遼の日本シリーズJTカップ 07年に初出場し、今年は2年ぶり13度目の出場。15年は2位に5打差をつける14アンダーで圧勝。19年は2打差5位で出た最終日に66で追い上げ、8アンダーで並んだケネディ(豪州)とのプレーオフを3ホール目で制した。過去12度の出場でトップ10は9回(08年5位、10年7位、11年3位、12年6位、15年優勝、16年6位、18年2位、19年優勝、20年6位)と好相性。