日本で初めて住宅地と一体化したゴルフ場として開場した千葉・季美の森GCが開場23年目を迎えた。家からゴルフ場に歩いて行ける環境は日本では「まれ」。コースと接している住宅は約6000万~1億円超と高額だが、コースに面していなければ1000万円台前半の物件も出てきたという。夢が少し近づいた? ゴルフ好き記者がプレーした。
プレーしていると、錯覚に陥る。ここは本当に日本なのだろうか。コース脇に瀟洒(しょうしゃ)な家が並び、米国のリゾートコースのようだ。
季美の森GCと季美の森タウンは、日本初の複合開発として1993年にオープン。ゴルフ好きの大物タレントや男子ツアー通算8勝の一流プロも暮らす。超高級イメージが強く近寄りがたかったため一度も訪れたことがなかったが、5月のある晴れた日、その独特の雰囲気に酔いしれた。
練習場は100ヤードとやや短いが、空きスペースをスタッフが手作りで整備したというアプローチ練習エリアはうれしい。ここで毎日、芝生の上から練習すれば小技が上達するはずだ。美しいコースと充実した練習環境。気分が良くなればスコアも良くなる。この日は93。私としては満足できる結果だった。
季美の森に住み、季美の森GCのメンバーになる―ゴルフ好きにとっては究極の夢だろう。さて、その夢の実現にはいかほど必要か。
コースに面し「フェアウェーフロント」と呼ばれる一等地は、やはり高根の花。「常にチェックしている方が日本中にいますので、売り物件が出てもすぐに商談がまとまります」と同組でプレーした冨田浩司副支配人(38)。敷地も広く設計されており、安くても約6000万円。1億円超の物件も多い。一般のサラリーマンには、ため息が出てしまう。
ただ、手が届きそうな夢もある。コースに面していない住宅なら“お買い得”な物件も。地元の不動産業者は「最近では1000万円台前半の中古物件も出ています」と話す。千葉郊外では相応の価格といえそうだ。
最寄りのJR外房線・大網駅から東京まで普通電車で約1時間15分、特急で50分。都内へ通勤する人も多いという。しかし、大網駅までバスで約17分。はっきり言えば遠い。冨田副支配人は「大網駅あるいは土気駅まで奥さんに車で送り迎えしてもらう人が多いですね」という。なるほど。だが、うちの奥さんが毎日、送り迎えしてくれることは考えにくい。夢から現実に引き戻される。
さらに会員権の問題もある。正会員の入会は加入登録金108万円、会員資格保証金595万円、合計703万円なり―。うちの奥さんが購入を許してくれることはもっと考えにくい。
メンバーのプレーフィーは全日7431円(平日は昼食付き)。ハーフは全日3500円。「天気を見た上で当日に予約し、歩いて来場されるメンバーさんもいます」と冨田副支配人。季美の森ライフはうらやましい限り。いつか「竹内が住んだ」という記事を書いてみたいものだ。(竹内 達朗)
◆季美の森(きみのもり)ゴルフ倶楽部 1993年11月開場。コース設計は宮沢長平氏。ベント1グリーン。11ホールで池が絡み、戦略性が高い。プレースタイルはナビ付きカートによるセルフ。現在の会員数は期間限定、平日会員を含め約560人。一般ゲストのプレーフィーは6月平日1万4600円。6月土日2万4900円。所在地は千葉・大網白里市季美の森南2の49。千葉東金道路・山田ICから約2キロ。最寄り駅はJR外房線の大網、または土気。問い合わせ、予約は同GC(TEL0475・73・0109)まで。