松山英樹の決意 10季目で「10勝目を挙げる」…米ツアー参戦節目の22―23シーズン


インタビューに答える松山英樹(カメラ・小泉 洋樹)

インタビューに答える松山英樹(カメラ・小泉 洋樹)

 男子ゴルフのメジャー、マスターズを含むアジア勢最多タイの米ツアー8勝を誇る松山英樹(30)=LEXUS=がスポーツ報知のインタビューに応じた。今年は首痛などけがに悩まされた中でも上位30人で争う最終戦(同年8月下旬・ツアー選手権、11位)に最長9年連続で進む快挙を成し遂げた。節目のツアー10季目(22―23)を戦う来年へ「9勝目、10勝目をしたい。それがメジャーならうれしい」と決意を込めた。(取材・構成=高木 恵、岩原 正幸、宮下 京香)

 ―最終戦のツアー選手権に継続中の記録では最長の9年連続進出。21―22シーズンを振り返り。

 「けがもあり、なかなか思うように結果と体調がうまくいかないシーズンだった」

 ―史上4人目の連覇を狙ったマスターズ(4月、14位)は3月に痛めた首周辺の不安がある中で回りきった。

 「ディフェンディング王者として行けたことは、これから一生あるかないか。特別な週で、特別な思い出になった」

 ―体の面でのもどかしさがあった。

 「3月からずっと悩まされた。そこが良くなればもう少しできたのかな。来年はしっかりと準備したい。(振り返ると)スイングも悪かったんだろうし。自分の体がダメだよと言っているのに無理したのかな、とか。自分で(けがを)止められなかったのは悔しい」

 ―年齢面も含めて向き合い方を考えるのか。

 「自分が今まで逃げていた部分(体づくり、ケアの面)もやらなきゃいけないと改めて思った。これまでと違うやり方でいかないと、うまくいかないんだろうなというのはある程度分かっている。少しずつ良い方向にいけば、おのずと負担は変わってくる感じはする」

 ―11月のヒューストン・オープン(首痛で棄権)以降の状態は?

 「試合前まで良かったけど、始まったら状態も、ゴルフも悪くなった。その時は心が折れた(苦笑い)。続けるのは修業にもならない。ゴルフの練習と(それだけではなく)休むことも大事だと思った。少しゆっくりして、今はだいぶ(痛みも)抜けて、このまま良くなってくれると信じている」

 ―米ツアーに参戦して節目の10年。

 「あっという間。頑張ったなとは思うけど、先日、(日本ツアー48勝の)中嶋常幸さんの50周年のお祝いのメッセージを贈った時、『50年ってすごいな』と。あと10年、20年はいきたい」

 ―長く続けたいか?

 「それより体を良くしたら長く続けられるでしょという話。練習ができなくなると下手になる。体を良くすること、長く痛みなくできることが理想だと思う」

 ―マスターズに勝って、メジャー2勝目への思いは。23年は1月5日開幕のセントリー・チャンピオンズ(米ハワイ州)から始動する。

 「10年連続でツアー選手権(出場)が目標。早く9勝目、10勝目を挙げること。それがメジャーならうれしい。今季(22―23)は秋口、ここ何試合かポイントを稼いでいないので年明けから重圧がかかる。今までみたいにゆっくり仕上げてという感じではない。今の目標は優勝することと、体が痛くならないこと」

 ◆LIV招待は「分からない」 〇…松山はマスターズ覇者として生涯にわたり大会に出場する権利を有するが、「俺は多分、意外とスッとやめるんじゃないかな」とも話した。インタビューでは、サウジアラビア政府系ファンドが支援する超高額賞金の新ツアー「LIV招待」に関する質問にも答え、「別に興味がないわけではない。そこ(将来のこと)は分からない」と語った。昨季終了前は欧米メディアで参戦の可能性が取り沙汰されていた。

 ◆日本代表のW杯躍進あえての静観 〇…松山は昨年に日本代表として東京五輪でプレーした。今年、サッカーのカタールW杯では日本が1次リーグ(L)で優勝経験国のドイツ、スペインを破り16強入り。同じく日の丸を背負ってプレーする姿を、「(決勝トーナメント1回戦の)クロアチア戦だけ見た。1次Lはあえて見なかった。内心では勝ってほしいけど、他のスポーツを応援すると逆に負ける感じがするので、応援しない方がいいのかなと思った」と見守っていた。

 ◆松山の2022年

 ▼1月 ソニー・オープンで崔京周(チェ・キョンジュ、韓国)と並ぶアジア勢最多の米ツアー8勝目。2打差2位で出た最終日に63で、ラッセル・ヘンリー(米国)とのプレーオフを1ホール目で制す。

 ▼3月 プレーヤーズ選手権とマスターズの前週、テキサス・オープンを首痛で棄権。

 ▼4月 連覇を狙ったマスターズは14位。

 ▼6月 全米オープンで6打差17位からメジャー最終日で自己最少65と猛追し、4位。

 ▼8月 21年秋に開幕した21―22年の年間ポイント17位となり、上位30人による最終戦のツアー選手権に、継続中の記録では最長の9年連続出場。

 ▼10月 9月に開幕した22―23年シーズンの出場2戦目、千葉でのZOZOチャンピオンシップは連覇を逃し40位だった。

 ◆松山 英樹(まつやま・ひでき)1992年2月25日、松山市生まれ。30歳。4歳でゴルフを始め、東北福祉大2年時の2011年マスターズは27位で日本人初のローアマチュアに輝く。同年の三井住友VISA太平洋マスターズでアマV。プロ転向した13年にツアー初の新人賞金王。同年秋から米ツアーに本格参戦して14年に初V。21年マスターズなど同ツアーアジア勢最多タイの8勝。180センチ、89・8キロ。家族は妻と1女。

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