◆女子プロゴルフツアー メジャー初戦 ワールドレディスサロンパスカップ 第3日(6日、茨城GC西C=6780ヤード、パー72、報知新聞社後援)
通算17勝の上田桃子(36)=ZOZO=が、大会史上最年長でのメジャー初優勝を視界にとらえた。8打差11位で出て好調なパットで粘り3バーディー、3ボギーの72。通算4オーバーで首位と4打差3位へと浮上した。今大会で出場400戦目の節目を迎えた36歳は国内メジャーのタイトルがなく、これが54度目の挑戦。今季7戦中、トップ10入り5度と好調を維持する百戦錬磨のベテランが、経験を糧に最終日逆転で悲願のメジャー初制覇を成し遂げる。
日差しが強く風が吹いた超難関コースでベテランが存在感を示した。上田は、この日アンダーパーが3人しかいない難条件下で全てを受け入れた。最大瞬間風速15・3メートルを計測した暴風に出だしの1番で開き直った。フェアウェー中央の好位置から9アイアンでの第2打はグリーン奥のバンカーへ。ボギー発進となったが「これで乗らないんだからボギーは受け入れて組み立てようと腹をくくった。(風の強い海外メジャーの)全英オープンのイメージでやった」。
この日の平均スコアは76・8689。08年のメジャー昇格後、大会史上初めてアンダーパーの選手が消えたが、プロ19年目の36歳は「計算外を受け入れながら」と冷静さを保った。今季平均パット数ツアー1位のグリーン上で勝負をかけた。3番、11番は4メートル、5番は6メートルのバーディーパットを沈めた。
07年には当時最年少の21歳で賞金女王となり17勝を積み上げた。米ツアーでも活躍したが国内メジャーはいまだ勝利がない。「行ける時は行く、腹をくくったゴルフをしていくしかない」。54度目の国内メジャー舞台に強い気持ちで臨んだ。
3日のプロアマ戦で元世界ランク1位で、17年に引退した宮里藍さん(37)と同組で回った。「あの方のパットとアプローチがあったら、もっと余裕なのに、と思いながらずっと回っている」と上田。連日LINEで連絡を取っており「『疲れをためないようにね』って言われているので、それだけ気をつけています」。日米ツアーをともに戦った盟友のエールも励みになっている。
11、15年大会に続くV争い。4差を追う雨予報の最終日へ「難しくなると思うんですけど、ある程度腹をくくりながら」と話す。優勝すれば13年の茂木宏美を超える36歳326日で大会最年長Vだ。「400試合もやってきてるんだから引き出し使って、戦えれば」。悲願のメジャー制覇へ機は熟した。(瀬川 楓花)
◆国内女子メジャーの最終日逆転 1988年のツアー制施行後では5打差が最大で6例。
〈1〉平瀬真由美(89年レディーボーデンカップ)
〈2〉塩谷育代(96年日本女子プロ選手権)
〈3〉古閑美保(07年ツアー選手権リコー杯)
〈4〉横峯さくら(09年ツアー選手権リコー杯)
〈5〉テレサ・ルー(14年日本女子オープン)
〈6〉鈴木愛(16年日本女子プロ選手権)
この大会では18年の申ジエ(韓国)の4打差が最終日最大の逆転劇。
◆上田 桃子(うえだ・ももこ)1986年6月15日、熊本市生まれ。36歳。東海大二高卒業。9歳の時、坂田塾でゴルフを始める。2005年のプロテストに合格し、同年の新人戦を制する。07年に「ライフカードレディス」で初優勝し、日本開催の米ツアー「ミズノクラシック」を含む年間5勝を挙げ、21歳156日で当時の最年少賞金女王に。08~13年は米ツアーが主戦場。通算17勝。21年の誕生日に結婚。161センチ、54キロ。