◆男子プロゴルフABEMAツアー(下部ツアー) LANDICチャレンジ10 最終日(9日、福岡・芥屋GC=7191ヤード、パー72)
史上初のジュニアゴルフ世界4大メジャーのグランドスラムを達成し「天才少女」と呼ばれる須藤弥勒(ゴルフ5)のショートゲームコーチを務める25歳のグラント・ゴッドフリー(米国)が5位からスタートし、5バーディー、1ボギーの68をマーク。通算11アンダーでプレーオフに進出した。1ホール目で同じ25歳の長沢奨(山田商会)に敗れたが、自己最高成績で賞金ランク6位に浮上。来季のレギュラーツアー昇格が見えてきた。
米国オハイオ州出身のゴッドフリーは2020年12月に来日。190センチ、75キロのシャープな体を生かし、300ヤード超のビッグドライブを連発する。ただ、最大の持ち味は、故郷のオハイオ州で磨いた小技。21年、弥勒が練習拠点とする茨城・ゴルフ5カントリーサニーフィードで行われたツアー予選会に出場した際、弥勒の父・憲一さんが多彩な小技を持つゴッドフリーを高く評価し、弥勒のショートゲームコーチに就任した。以来、ゴッドフリーと弥勒は一緒に練習に励んでいる。
今大会、第1日、第2日ともに5位につけ、初優勝を狙ったゴッドフリーを弥勒は、群馬県内の自宅で、一生懸命に応援していた。結果は、優勝に一歩、届かずに2位惜敗。「グラントコーチに勝ってほしかった。私も泣きそうです」と弥勒は残念そうに話した。弥勒の父・憲一さんは「グラントと弥勒は、いつも真っ暗になるまで練習しています。今回は残念でしたが、グラントの潜在能力は抜群です。必ず日本のレギュラーツアーで大活躍する選手になると思います」と期待を込めて話した。
ゴッドフリーは、弥勒のショートゲームコーチを務めると同時に謙虚に弥勒の姿勢を学んでいる。「弥勒のコーチをしていることで僕自身、大きな学びがあります」と話す。
弥勒は11歳のアマチュアながら強いメンタルと向上心を持つ。「私がナンバーワン! 私が一番よ!」「2032年ブリスベン五輪で金メダルを獲得します」「世界的な伝説なゴルファーになります」など野望を公言する。昨年、アマ資格の規定が大幅に改定され、アマチュアゴルファーも無制限でスポンサー収入を得ることが可能になったため、弥勒のもとにはスポンサーからオファーが殺到するほどの存在感も持つ。ゴッドフリーは「ゴルフが大好きで『絶対に世界一になる』という弥勒の情熱に僕も感化されました。日本ツアーでプレーする最も有名な外国人選手となり、将来は米ツアーでも活躍し、世界一のゴルファーになりたいと思っています」と大きな目標を語る。
「弥勒のコーチ」という特異な肩書きを持つゴッドフリーの挑戦は、今後も注目される。男子下部ツアーに面白い選手が台頭してきた。
◆グラント・ゴッドフリー 1998年1月23日、米国オハイオ州生まれ。25歳。2歳からゴルフを始める。トレド大卒業後の2020年にプロ転向。同年12月に来日。オハイオ州のトレド大で知り合った日本人女性と21年に結婚。昨年アジアパシフィックオープンダイヤモンドカップでレギュラーツアーに初出場し、予選落ち。190センチ、75キロ。
◆須藤 弥勒(すとう・みろく)2011年8月6日、群馬・太田市生まれ。11歳。1歳からゴルフを始め、東大出身の父・憲一さんの緻密な指導を受ける。17、18年に世界ジュニアゴルフで連覇し、頭角を現す。19年にマレーシア世界選手権、21年にキッズ世界選手権、22年6月にジュニア欧州選手権優勝し、ジュニアゴルフ界の4大メジャーを制覇。昨年8月に横峯良郎氏に弟子入りした。昨年、アマチュア資格の規定が大幅に改定され、アマチュアゴルファーも無制限でスポンサー収入を得ることが可能になったことで所属契約のゴルフ5をはじめ、12社・団体とスポンサー契約した。家族は父、元フィギュアスケート選手の母みゆきさん、兄・桃太郎君、弟・文殊君。145センチ、52キロ。