◆男子プロゴルフツアー 長嶋茂雄招待セガサミーカップ 第1日(29日、北海道・ザ・ノースカントリーGC=7178ヤード、パー72)
45歳の武藤俊憲(フリー)が1イーグル、7バーディー、2ボギーの7アンダー65をマークし、首位と1打差の2位スタートを切った。28日のプロアマ戦で一緒に回ったプロ野球界のレジェンド、山本浩二氏(76)と野村謙二郎氏(56)から授かった金言を胸に躍動。シード落ちも経験したベテランが、2019年以来のツアー8勝目を目指す。
希代のショットメーカーは「久しぶりに僕らしいゴルフができた。バーディーはほとんど1ピン以内。いい時の武藤のゴルフができた」と胸を張った。
スタートの10番、12番をボギーとし、2オーバーまでスコアを落とした。「今週もどうなることか」と心配したのもつかの間。難しいアプローチを寄せてバーディーを決めた13番パー5を機に、流れをつかんだ。後半3番パー5では、264ヤードの第2打を3ユーティリティーでピン右横3メートルまで運び、スライスラインを沈めてイーグルを奪い、最終9番で10メートルを沈めてバーディーで締めた。
28日のプロアマ戦でプロ野球広島の主力として活躍し、監督も務めた山本浩二氏、野村健二郎氏とラウンドした。球界のレジェンドから授かった金言が、心に響いた。野村氏の話に自分を置き換えてみた。「ピッチャーとバッターとの勝負の中で、若いピッチャーが『おじさん、打てるもんなら打ってみろ』みたいな球を投げてくると。打ち返す時もあるし、打てない時もある。その中で、チームとして必要とされていないなって思う時もあると」。
監督に起用してもらえない機会も増えていく。「その中でどう自分でモチベーションを作っていくかとか、どういう風に練習をしていくかとか、そういうのを色々考えながらやっていたっていう話を聞いて。こんなスターでもそういうことを経験してるんだなと、自分の中で刺さった」。山本氏からは勝負所のメンタルについて助言を受けた。「『応援するよ』って言ってくれたので、その応援に応えられて良かった。ありがとうございました」と2人に感謝した。
2020―21年シーズンには14年間守っていた賞金シードから陥落。22年も奪還はならなかったが、17年ぶりに挑んだ最終予選会で2位に入り、今季を戦っている。一気に若返りを図りつつあるツアーに身を置く中で「どう存在感を示すかっていうのは、すごく大きなテーマになっている。このままずるずるいくのもちょっと悔しい」。古傷の右足首は今でも痛む。日替わりの体調を受け入れながら、4年ぶりの歓喜へベテランの強みを発揮する。