◆女子プロゴルフツアー 楽天スーパーレディース 最終日(30日、兵庫・東急グランドオークGC=6636ヤード、パー72)
2打差2位からスタートした桜井心那(ここな、19)=ニトリ=が6バーディー、ボギーなしの66で回り、通算21アンダーで逆転優勝を飾った。3戦前の資生堂レディスで初優勝したばかりの新鋭が1988年のツアー制施行後、年少5番目となる19歳167日で2勝目を挙げた。昨季は下部ツアーで5勝。勝ち方を知る桜井は来年のパリ五輪出場に意欲を示した。首位から出た鈴木愛(29)=セールスフォース=は、2打差3位に終わった。
勝負の流れは、元賞金女王の鈴木に移りかけた。桜井が1打リードして迎えた13番パー5。鈴木が7メートルの長いバーディーパットを沈めた。その直後、桜井は1メートルのバーディーパットを入れ返すことができず、両者は通算20アンダーで並んだ。
「鈴木さんが長いパットを沈めて邪念が入った。スコアとかいろいろと考えてしまいました」と桜井は正直に明かした。しかし、ここからが真骨頂だった。続く14番パー4で残り126ヤードの第2打をピン真上1メートルにピタリ。今度はきっちりと沈め、再び、首位を奪った。「全集中した。怒りのバーディーです」と苦笑いしながら振り返った。
ゴルフにおいて「怒り」はマイナスに作用することが多いが、19歳はプラスに変えた。ドライバー平均飛距離ランク3位(256・32ヤード)のパワーに加え、勝者のメンタリティーを持つ。
3戦前に初勝利を挙げたばかり。プロゴルフの世界に「初勝利より2勝目が難しい」という格言があるが、ツアー史上5番目の若さで手にした。昨季、下部ツアーで5勝。勝ち方を知っていることを改めて証明した。
10代で2勝の選手には宮里藍さんらビッグネームが並ぶ。「まだ下手くそなので比べてほしくないです」と謙虚に話しつつも「私も海外で活躍したい。パリ五輪にも出場したい」と前向きに話した。日本を代表する女子ゴルファーになる可能性を示す勝利だった。(竹内 達朗)