鳥海颯汰デビュー戦で暫定6位発進 ウッズの伝説のチップインに「おじいちゃん、これがやりたい」


ツアーデビュー戦で好発進の鳥海颯汰

ツアーデビュー戦で好発進の鳥海颯汰

◆男子プロゴルフツアー ANAオープン 第1日(14日、北海道GC輪厚C=7066ヤード、パー72)

 第1ラウンドは午後3時6分に降雨によるコースコンディション不良のためサスペンデッドとなり、75人がホールアウトできなかった。今大会がツアーデビュー戦となった北海道音更町出身の22歳・鳥海颯汰(桂GC)が5バーディー、1ボギーの4アンダー68で回り、首位と3打差の暫定6位につけた。

 スタートの10番ティーグラウンドで、鳥海の体は幸福感に包まれた。初めてのツアー。地元での大会。名前がコールされると、さらに気持ちは高揚した。「すごい楽しかった。めっちゃ楽しかった。緊張よりもワクワク。名前を呼ばれるのがうれしくて」。暫定ながら、好位置でデビュー戦初日を終えた。

 10番でティーショットを左林に曲げるピンチを迎えたが、グリーン右手前からの30ヤードの第3打を沈めるチップインバーディーで波に乗った。13番で10メートルを流し込むと、14番では100ヤードの第2打を1メートルにつけて連続バーディーを奪い、スコアを伸ばした。「コツコツやっていたら前半で4アンダーになっていた」と驚いた。

 2020年にプロに転向した。昨年のプロテストに4度目の挑戦で合格したが、最終予選会に進めず、ツアーの出場資格を得ることができなかった。5月の北海道プロ選手権で優勝し、推薦で今大会の出場権を得た。学生時代から憧れ続けた大会に、ようやくたどり着いた。全道ジュニア輪厚大会で小学6年生から4連覇を成し遂げた思い出のコースに、プロとして帰ってきた。

 4歳だった2005年。テレビでマスターズを見ていた。タイガー・ウッズが最終日16番で見せた、伝説のチップインバーディーに心が動いた。隣にいたゴルフ好きの祖父・祝男さんに「おじいちゃん、これがやりたい」とせがみ、ゴルフの世界へ足を踏み入れた。中学1年の秋に1か月、オーストラリアにゴルフ留学をした。シェアハウスに寝泊まりし、海外の選手と切磋琢磨(せっさたくま)するなかで、どんどんゴルフにのめり込んでいった。「絶対にプロゴルファーになる」。異国の地で誓いを立てた。

 ツアー3勝の中島啓太、蝉川泰果、同2勝の平田憲聖と同じ2000年度生まれ。「同世代がみんなツアーで優勝しているので、それに乗っかっていけると。自分も刺激になっている。頑張ろうと思う」と必死に背中を追っている。ゴルファーとしてのスタートを見守ってくれた祖父が、高校2年生だった17年4月に他界した。「プロになるのを見せたかった。でも今も見ていてくれると思うので、残り3日頑張りたい」。故郷で天国に雄姿を届ける。(高木 恵)

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