
10番、ティーショットを放つアマチュアの杉浦悠太(カメラ・渡辺 了文)
◆男子プロゴルフツアー ダンロップフェニックス 第2日(17日、宮崎・フェニックスCC=7042ヤード、パー71)
1打差の2位から出た今大会唯一のアマチュア・杉浦悠太(22)=日大4年=が6バーディー、1ボギー、1ダブルボギーの68で回り、通算10アンダーで単独首位に浮上した。アマとしてのラストマッチで連日のバーディーラッシュをかけ、海外メジャー王者3人も抑え、後続に3打差をつけている。1973年のツアー制施行後、7人目のアマVを果たしてのプロ転向を目指す。単独首位から出た松山英樹(31)=LEXUS=は74と落とし、首位と5打差の8位へ後退した。
世界屈指のプロたちを、日大4年の杉浦が圧倒した。秒速10メートルの強風が吹く中で6バーディーを奪取。「自分の思い通りにプレーができた」。松山、ケプカ、クラークのメジャー王者も手を焼く難条件も何のその、1999年の日本ゴルフツアー機構発足以降、日本人アマでは7人目の予選ラウンドトップ通過となった。
ナイスカムバックだった。出だしの1番でティーショットを右の林に打ち込むダブルボギー。「緊張もあった。このまま大丈夫かな」と不安がよぎったが、引きずることなく、2番で2メートル、3番で8メートルのバーディーパットを沈めて取り返した。「気持ち的に立て直し、最後までいいゴルフができた」と声を弾ませた。
10月のアジア太平洋アマチュア選手権(豪州)で予選落ち。優勝で得られる来年のメジャー、マスターズ出場を目指し、プロ転向を1年遅らせただけに「思わずへこんだ」とショックは大きかった。仕切り直して今月28日からは来季の国内ツアー出場権をかけた3次予選会に参加予定で、今大会がアマとして最後の試合。しかし、ツアー史上7人目のアマ優勝を果たしてプロ宣言すれば、来年のツアー出場権を得る好機が巡ってきた。
幼少期の憧れは、07年に史上最年少15歳245日でツアー制覇したアマ優勝の先輩・石川遼。尊敬するスターと同じ道を射程に捉え、「僕も目指して頑張りたい」と目を輝かせた。得意のショートゲームを武器に9月、下部ツアーでは8人目のアマ優勝で今大会の出場資格を得るなど実力は証明済みだ。
3打差は考えず、守りには入らない。18日も強風の予報だが「(フェアウェーの)狭いホールでもドライバーで攻める」と強気。第3ラウンドは最終組でのプレーに「緊張はすごくすると思う。それでも自信を持っていく」。第50回を迎えた伝統のビッグトーナメントで、22歳のアマが歴史をつくる。(富張 萌黄)
◆杉浦 悠太(すぎうら・ゆうた)2001年9月12日、愛知・高浜市生まれ。22歳。4歳から父の影響でゴルフを始める。小学時代は野球も。強豪の福井工大福井高ゴルフ部で腕を磨き、18年の日本ジュニアなどで優勝。19年、アマ日本代表初選出。20年、日大国際関係学部に入学。得意クラブはウェッジ。ドライバーの平均飛距離は290ヤード。家族は両親と妹。172センチ、74キロ。