中島啓太が単独首位発進 メジャー初制覇へ 大会最年少Vへ23歳賞金王が躍動 3番イーグル「最高の結果」


12番、色づいた木を背にショットを放つ中島(カメラ・今成 良輔)

12番、色づいた木を背にショットを放つ中島(カメラ・今成 良輔)

◆報知新聞社主催 男子プロゴルフツアー メジャー最終戦 日本シリーズJTカップ 第1日(30日、東京よみうりCC=7023ヤード、パー70)

 1973年のツアー制施行後、3番目の年少賞金王となった中島啓太(23)=フリー=が、メジャー初制覇となる大会最年少優勝へ単独首位発進を決めた。1イーグル、5バーディー、ボギーなしの63。前週まで賞金王争いを繰り広げた金谷拓実(25)=Yogibo=と同組でイーグルを奪うなど、隙のないプレーを披露した。ツアー5人目(6例目)の年間獲得賞金2億円超えとなる、第60代王者の座へ大きな一歩を踏み出した。

 若き賞金王が貫禄を見せつけた。2度目の出場の中島は大きなミスなく、順調にスコアを伸ばし続けた。「結果的にはすごく良かった。ノーボギーで回れたのも良かった」と好発進にうなずいた。63ストロークはツアー自己最少に並ぶ好成績。パット数は今季最少タイの「24」と傾斜がきつい難グリーンを攻略し、幸先良くスタートを切った。

 最大の見せ場は3番パー4だ。第1打を左に曲げるも、木に当たる幸運でフェアウェーへ。ピンまで残り114ヤードの第2打は56度ウェッジを選択。ピン右奥50センチに落とすと、バックスピンでカップへ消えた。「完璧なショットが最高の結果になってくれた」。右拳を突き上げ、同組の金谷とハイタッチで喜びに浸った。

 前週、石川遼、松山英樹に続く歴代3番目の若さで初の賞金王を決めた23歳。2学年上で、ともにアマチュア世界ランク1位となった金谷とは10代のアマチュア時代からのライバルで、今年はプロの舞台で賞金王争いを演じてきた。金谷は1打差2位で、今大会も2人による優勝争いのムードが漂う。「戦いは今週もあるし、戦う意思を見せてプレーすることが、金谷さんへの恩返しになる」と最終戦でも全力でぶつかりにいく構えを示した。

 開幕前日の29日。会場からの帰りに格安理髪店を見つけ、堅実な23歳は1200円で散髪してリフレッシュ。だが、実は親交のある岩田寛(42)に切ってもらう約束をしており「(30日)朝、お風呂場で会ったら『浮気者だね』と言われた」と苦笑い。9月の韓国開催の大会でも岩田に髪を切ってもらったという。「(寡黙でこわもての岩田が)切っている時はかわいくて楽しい。ホテルが今週は違うので、我慢できなくて切っちゃいました」と笑顔で謝罪した。

 81年の羽川豊の23歳363日の大会最年少V記録更新(23歳162日)に期待がかかる。優勝賞金4000万円を上積みすれば、16年の池田勇太以来5人目の年間獲得賞金2億円突破にもなる。「明日からもスコアを伸ばしていきたい」と中島。今季賞金王が記録にも記憶にも残るプレーで、“王者の中の王者”となって初の日本タイトルもつかみ取る。(富張 萌黄)

 ◆中島が目指す記録

 ▽史上5人目(6例目)の年間獲得賞金2億円超え 今季ここまで1億7248万6179円獲得。優勝賞金4000万円獲得なら、16年の池田勇太以来の“大台”を突破する。

 ▽大会最年少優勝 81年、23歳363日で優勝した羽川豊が記録保持者。中島が優勝すれば、23歳162日で201日更新する。

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