中嶋常幸「AONは頭で考えてきた」 次世代へ「アナログとデジタルの融合を」 ヒルズゴルフ・トミーアカデミー


(左から)小滝水音、中嶋常幸、上久保実咲

(左から)小滝水音、中嶋常幸、上久保実咲

 男子プロゴルフでツアー48勝の中嶋常幸(静ヒルズCC)が17日、主宰する「ヒルズゴルフ・トミーアカデミー」6期生の合宿を茨城・静ヒルズCCで行い、11月のプロテストに一発合格した上久保美咲(奈良育英高3年)ら11人を指導した。

 生徒は早朝から飯田光輝トレーナーの元でトレーニングに励み、昼には栄養士から食事について学び、午後からのラウンドで総仕上げした。3日間の合宿の最終日。中嶋は「俺たちの時代はやっていることもアナログだったけど、今はもうデジタルになっている。携帯で世界中のトップ選手の情報を手に取れるし、いくらでもいい材料を手に入れることができる。今はそういう意味では、はるかに進んでいる」と時代の流れについて言及した。

 自らの若かりし日々、プロ野球選手や他の競技のトレーニングを参考にしながら必死に体を作っていた。現在はYouTubeやSNSで、求める情報がすぐに手に入る。「例えば(ロリー)マキロイがどんなトレーニングをしているかとか、タイガー(ウッズ)がどうしているかとか、すぐ見られる。彼たちの一番の財産はスマホであり、ネットから得られる情報。逆に言うと、それがまた危機的なこともあるよね」。今の選手たちの恵まれた環境について触れながら続けた。

 「電源がない、充電されていないと何も情報が手に入らない。無人島に行って携帯の電源が落ちた瞬間に今の子はアウト。俺とかAON(青木功、尾崎将司、中嶋常幸)っていうのは自分たちの頭で考えてきた。昔の昭和の人たちは、あの木を取ってきて自分の服から糸を取って釣竿にして、とか生きる術を知っている。そんなアナログと、今のこのデジタルが融合したらいいなと。自分の経験が子どもたちに役に立つんじゃないかなと思う。自分が経験したことっていうのはある意味宝だし、それを惜しみなく伝えることによって彼らが持っているデジタルと融合したら、彼らはもっと進んでいけると思う」

 「ヒルズゴルフ・トミーアカデミー」は2012年に発足したジュニア育成プログラム。厳格な入塾テストをパスした選手が参加し、「5年以内の日本ツアー優勝」、「7~10年以内の海外ツアー優勝」を目標に掲げながら活動を続けている。これまで212人が参加し、卒業生には畑岡奈紗、小滝水音、蛭田みな美、河本力、杉原大河らがいる。

 「自分は経験を伝えるだけだけど、応援してくれている人がいないと何もできない。こういうフィールドを森ビルさんに提供してもらってサポートしてもらって、俺は幸せだなと思う」と感謝。「ここで教えたことが全てじゃなくて、ここはスタート台でしかないから。ああいうジュニアたちを見ているとすごく楽しいし、日本の若者、素晴らしいなって思う」と笑顔を見せた。

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