国内男子ツアーを統括する日本ゴルフツアー機構(JGTO)の青木功会長(81)が4日、都内で退任会見を開いた。プロ通算85勝で賞金王5度のレジェンドは「悔いはありません」と若手選手の成長ぶりに一定の満足感を口にした。一方、今季の試合数は昨年から3試合減り1973年のツアー制施行後最少の23試合。「本当に悔しい」と無念の思いも吐露した。4期8年と長期政権にピリオドを打つ青木会長をゴルフ担当キャップの岩原正幸記者が「労う」。
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グレーのスーツに身を包んだ青木会長は、サバサバした表情で退任会見に臨んだ。「この8年間、男子ゴルフの発展のために働いてきて、悔いはありません。今後は陰ながら応援していきたい。80歳を過ぎ、今年82。少し休みたいと思った」と正直な胸の内を明かした。
16年3月、第4代JGTO会長に就任。特別顧問にプロ通算113勝の盟友・尾崎将司(77)、相談役には米ツアー3勝の丸山茂樹(54)を据え、役員に歴代最多10人ものプロゴルファーを起用し「現場主義」の姿勢を示した。当時の宮里優作選手会長に請われる形で、ツアー人気回復への“切り札”として日本男子ゴルフ界の第一人者がトップに就いた。
プロアマでは青木会長自らプレーし16、17年の中日クラウンズでは選手として最年長出場(当時73、74歳)を果たすなどツアーの盛り上げを生み、有望な若手選手とも積極的に交流。個性やガッツポーズを前面に出す大切さを説いた。世界各地で活躍してきた経験から米ツアー(ZOZOチャンピオンシップ)や欧州、アジアンツアーとの共催試合も国内で開催し、若手の国際競争力向上にも尽力した。
1980~90年代に青木、尾崎、中嶋(常幸)の3強「AON」でツアーをけん引。近年は昨季賞金王の中島啓太(23)、蝉川泰果(23)、金谷拓実(25)とアマチュア優勝者が出現し、彼らの頭文字を取り「NSK」の新時代が到来中。青木会長も「2、3年前から若い選手が育って出てきたのは満足」と胸を張った。
一方で16年の就任時は26試合だったツアーは今季史上最少23試合と、20年以降のコロナ禍や不況の影響などで苦境に。8年間、抜群の知名度でスーツ姿でも奔走してきた81歳は「残念ながら試合数を大幅に増やすことはできなかった。本当に悔しい」と無念さもにじませた。試合数増という難題の解決は後任へと託した。
◆青木 功(あおき・いさお)1942年8月31日、千葉県生まれ。81歳。我孫子中を卒業後、64年にプロ転向。卓越した小技を武器に71年の関東プロを手始めにツアー51勝を積み上げ、5度の賞金王に輝いた。80年全米オープンはジャック・ニクラウス(米国)と優勝争いの末2位。83年のハワイアンオープンで米ツアー日本男子初優勝。50歳を迎えると米シニアツアーに参戦し、9勝を挙げた。世界各地でプロ通算85勝。