ジョン・ラーム(スペイン)が4人目のマスターズ連覇に挑戦 「セベがずっと見守ってくれた。誇りに思う」


 2021年全米オープン王者のジョン・ラーム(29)=スペイン=が、4月11日開幕の男子プロゴルフの今季4大メジャー初戦、マスターズ(米ジョージア州オーガスタナショナルGC)で、2002年以来22年ぶり大会4人目となる連覇に挑む。

 夢舞台での連覇達成は、過去87回の大会でレジェンド3人のみだ。1965、66年のジャック・ニクラウス(米国)、89年&90年、ニック・ファルド(英国)、2001、02年のタイガー・ウッズ(米国)。毎年同じコースで開かれているが、傾斜の激しい難コースに加えて、天候の不安定な春のメジャーでもあり、困難となってきた。

 いかつい見た目と感情むき出しのプレーから、ラームについた愛称は「(映画の)ランボー」。世界屈指のパワフルなショットメーカーは今季も好調だ。主戦場のサウジアラビア系政府ファンドが支援する「LIVゴルフ」で、3位を最高に5戦中4度のトップ10入り。平均312ヤードと抜群の飛距離と正確なショットを武器に、爆発的なスコアをたたき出す。

 21年6月の全米オープンで悲願のメジャー初制覇を成し遂げた。昨年4月のマスターズでは、首位のブルックス・ケプカ(米国)と2打差2位で出た最終日に4バーディー、1ボギーの69で回って通算12アンダーで逆転V。セベ・バレステロス(80、83年)、ホセマリア・オラサバル(94、99年)、セルヒオ・ガルシア(17年)に続くスペイン勢4人目のマスターズ王者となり「とても信じられない。言葉では言い表せない」と喜びに浸った。

 昨年大会最終日。4月9日はくしくも、54歳で死去したスペインゴルフ界の英雄・バレステロスの誕生日でもあった。アリゾナ州立大時代には、そのバレステロスにプロ転向を勧められたこともあった。母国のレジェンドと肩を並べるマスターズ制覇に「セべのようにアグレッシブにいきたかった。セベがずっと見守ってくれた。歴史の1ページに名を残せて誇りに思う」と勝者の象徴・グリーンジャケットに満面の笑みで袖を通した。

 「ゴルフの祭典」には8年連続8度目の出場。毎年同じコースで開催される唯一の男子の4大メジャーだ。開催コースのオーガスタナショナルGCとラームの相性はすこぶるいい。初出場した17年は27位。18年4位、19年9位、20年7位、21年5位、22年は27位と世界屈指の難コースでも予選落ちなし。持ち前の高弾道のショットで、オーガスタ特有の点で落とさないといけない、硬くて速いグリーンを攻略してきた。

 必然的に今年も欧米のブックメーカーでは、優勝候補筆頭に推されている。「自分はファイターなんだ。世界最高の選手を倒すために努力をしてきたよ」。世界ランク3位の熱血漢が、スペイン人で初めてマスターズ連覇の扉をこじ開ける。

 ◆ジョン・ラーム 1994年11月10日、スペイン・バリカ生まれ。29歳。米アリゾナ州立大に進み、2015年に世界アマランク1位。16年の全米オープンでローアマチュア(23位)を獲得してプロ転向。17年に米ツアー初優勝を飾るなど通算11勝。欧州DPツアー通算10勝。19年には欧州ツアーで3勝を挙げて年間王者となった。20年7月にスペイン人では故・バレステロス以来となる世界ランク1位に立った。188センチ、100キロ。ケリー夫人と2男。

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