◆女子プロゴルフツアー 富士通レディース 最終日(13日、千葉・東急セブンハンドレッドC=6697ヤード、パー72)
2年連続年間女王の山下美夢有(みゆう、23)=加賀電子=が涙の今季初優勝を飾った。6位から出て8バーディー、2ボギーでこの日のベストスコア66をマークし、通算14アンダーで並んだ古江彩佳(24)=富士通=とのプレーオフ(PO)を2ホール目で制し昨年11月以来の通算12勝目。現在2位のメルセデス・ランキングで、首位の竹田麗央(21)=ヤマエグループHD=との差を詰め、ツアー4人目の3年連続女王へ反撃ののろしを上げた。
ウィニングパットを沈めた山下は、勝者に贈られる拍手と歓声を全身で浴びた。約1年ぶりに味わう歓喜の瞬間。「ああ、やっぱ優勝って違うなって。最高です」。最終組の2つ前から猛チャージを見せ、POでメジャーのエビアン選手権覇者・古江に競り勝った。前週までのツアー出場18試合で2位が7回と惜敗続きの呪縛を解くと、優勝インタビューでは涙が頬を伝った。
一時は3打差をつけてトップを走るも13、14番の連続ボギーで後退。不穏な空気を強い気持ちで切り裂き、18番で13メートルのパーパットをねじ込んだ。6月のメジャー、全米女子プロも2位、今夏のパリ五輪ではメダルに1打及ばず4位。「迷いなく振っていた」という一昨年の動画を見ながらスイングのイメージを膨らませてきた。「なかなか勝てなかった。本当に意味のある1勝」とかみしめた。
来季の米ツアー参戦を目指して、12月の最終予選会にエントリーした。渋野日向子から「早くこっちにおいでよ」と声をかけられ、パリ五輪金メダルのリディア・コ(ニュージーランド)に「私の別荘があるから、そこで一緒に練習しよう」と“スカウト”もされた。「海外で優勝したい」という思いは強くなり、パリ五輪後に気持ちが固まった。
2位につけるメルセデス・ランクで、今季7勝の竹田との差を541・4ポイントまで詰めた。「竹田さんは素晴らしい選手。プレースタイルは違うけど、私のプレーをして少しでも上位で戦えるように、残りの試合を精いっぱい頑張りたい」。逆転での3年連続女王と米ツアー本格参戦へ、この勝利を自信に変える。(高木 恵)
◆日本ツアーの3年連続女王 山下が今年も年間女王を戴冠した場合、1988年のツアー制施行後では2000~05年に不動裕理が6年連続で賞金女王になって以来2人目。ツアー制以前を含むと、68~76年に樋口久子が9年連続、82~86年にト阿玉(台湾)が5年連続で賞金女王となっている。