飛ばし屋「ブンちゃん」が初V王手…「焦りを抑えて淡々と」プロ1年目の入谷響が単独首位浮上で最終日


16番、三つ編みを振り乱してティーショットを放つ入谷(カメラ・今西 淳)

16番、三つ編みを振り乱してティーショットを放つ入谷(カメラ・今西 淳)

◆女子プロゴルフツアー ニチレイレディス 第2日(21日、千葉・袖ケ浦CC新袖C=6594ヤード、パー72)

 2位で出たプロ1年目の入谷響(19)=加賀電子=が8バーディー、1ボギーでツアー自己最少を1打更新する65をマークし、通算12アンダーで単独首位に浮上した。後半9ホールで29の好スコアをたたき出し、2位の高橋彩華(さやか、26)=フリー=と4打差。男子ツアー48勝の中嶋常幸(70)を師匠に持つ国内女子ツアー屈指の飛ばし屋が、実力派ぞろいの今季ルーキーで一番乗りとなる初優勝に王手をかけた。

 酷暑を吹き飛ばす、怒とうのバーディーラッシュだった。入谷は10番から4連続、16番から3連続で伸ばし、バックナインは自身最少の29。19日に「気分転換」で変えた新パターでグリーン上もさえ、今大会のベストスコア65と伸ばし「ビックリ。後半は全部がうまくいった。流れが良すぎて怖くなった。長いパットが入ったり、楽しくやってました」と笑顔がはじけた。

 160センチ、75キロと体格に恵まれ、前週までの平均飛距離258・2ヤードは今季2位のパワーヒッター。だが、フェアウェーが狭い林間コースの今大会はショット精度を重視して2打目以降につなげ、2日間のパーオン率86・1%は1位。この日は10番で1メートル、11番で50センチ、12番もピンそばにピタリとつけ「ショットでしっかり攻めていけた」と自賛した。

 小学5年から中嶋に師事。常にドライバーをブンブンと全力でフルスイングする姿に「ブンちゃん」の愛称を名付けられた。「師匠」と慕うレジェンドから今年5月に直接指導を受けた際は、スイング時のボールの位置など細かい修正のみ。「自分のことだけに集中しよう」の“金言”を授かった。

 雪辱を果たす時が来た。4月の富士フイルム・スタジオアリス女子オープンは、2位と1打差の単独首位で挑んだ最終日に73と失速して4位。その反省から「体力は残さないといけないと痛感している」と今大会中の練習量は極力減らし、睡眠は8~9時間確保。連日の酷暑にも、旺盛な食欲は衰え知らずと状態は良好だ。

 今季の新人は都玲華(21)、中村心(19)、青木香奈子(25)ら実力派がズラリ。その中でも、13戦でトップ10入りが4回と“大本命”の入谷が一番乗りVに王手をかけた。ルーキーVなら23年4月の神谷そら以来だ。2位と4打差で迎える最終日。「自分との闘いになる。周りを気にせず、焦りを抑えて淡々とやりたい」と入谷。師匠の言葉を胸に戦い抜く。(星野 浩司)

 ◆入谷 響(いりや・ひびき)

 ▼生まれとサイズ 2005年12月21日、愛知・豊川市出身。19歳。160センチ、75キロ

 ▼ゴルフ歴 父・勝則さん(62)の影響で6歳から始める。小学5年から中嶋常幸に師事。岐阜・中京高を経て、朝日大2年在学中。2度目の受験となった昨年のプロテストを7位で合格。QT(予選会)ランク18位。今季最高はリゾートトラストレディスなど4位が2度

 ▼目標の選手 中嶋常幸、畑岡奈紗

 ▼得意クラブ ドライバー

 ▼趣味 2・5次元ミュージカル鑑賞。「刀剣乱舞」が好きで「かっこよくて泣ける。大会中は(推し活を)我慢して遮断します」

 ▼好きな食べ物 唐揚げ、目玉焼き

 ▼家族 両親、姉、兄

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