
菅は優勝トロフィーの横でかわいくVサインする(カメラ・宮崎 亮太)
◆女子プロゴルフツアー ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン 最終日(28日、宮城・利府GC=6590ヤード、パー72、報知新聞社後援)
2打差10位で出たプロ2年目の菅楓華(20)=ニトリ=が、逆転で涙のツアー初優勝を飾った。8バーディー、1ボギーでこの日のベストスコア65をマークし、通算9アンダー。終盤に神谷そら(22)=郵船ロジスティクス=ら4人が首位に並ぶ大混戦を制した。同じ2005年度生まれで今季1勝の入谷響(19)=加賀電子=、荒木優奈(20)=Sky=らとともに、新時代を築いていく。
切らずにいた菅の戦闘モードが、一気に緩んだ。プレーオフに備えて球を転がしていた練習グリーンで、歓喜の瞬間を迎えた。入谷らの祝福に実感がわいてきた。もう涙が止まらない。「なかなか優勝に届かなくてすごく苦しい日もあった。今日は最後まで自分を信じて戦うことができた。今はうれしさが一番」。すがちゃんの最高でNO1なフィナーレだった。
最終組の3つ前から2打差を追った。「ビッグスコアを出すことだけを意識してスタートした」。1番で10メートルをねじ込み、3連続バーディー。アクセルを踏み続けた。首位タイで迎えた15番パー3で第1打がグリーン左奥へこぼれる大ピンチも1メートル半に寄せてパーをセーブ。17、18番とピンにからめて後続を突き放した。
開幕から2試合続けて2位に入るダッシュを決めたが、シーズン中盤なかなか優勝争いに絡めない日々が続いた。「またダメか」の繰り返し。同学年の入谷、荒木が先に勝利し「私も早く勝ちたい」と焦りが生じることもあったが「自分に期待しすぎ。ゴルフ人生は長い。まだまだこれから」。気持ちを切り替え、くさらず試合に臨み続けた。
小学1年のときに、近所の公園で5歳上の“お姉さん”と知り合った。毎週末遊ぶほど仲良くなった。「ゴルフやってみる?」。突然の誘いが運命の歯車を動かした。現在は所在が分からず連絡は取っていないが、恩人との出会いに感謝する。菅はゴルフにどんどんのめり込んでいった。実家は宮崎の農家で、主にきゅうりを作っている。幼い頃は米の収穫が終わった田んぼに向かって、暗くなるまで球を打ち続けた。
今回の優勝で、地元宮崎で行われる最終戦のツアー選手権リコー杯の出場資格を初めて獲得した。「1勝して戻れるということがすごくうれしい。まだ試合が続くので、2勝目、3勝目を目指していきたい」。楓華(ふうか)には「菅家に風を吹かせる」との願いが込められている。凱旋試合で、故郷に華やかな旋風を巻き起こす。(高木 恵)
【楓華に聞く】
―65のビッグスコア
「今週はショットがすごく安定していて、パッティングが決まってくれればスコアは作れると思っていた。そのパッティングがすごく決まってくれた」
―同世代の存在は
「焦ることもあったけど、切磋琢磨できているし、そういう環境があるから自分も頑張れる。メンバーに恵まれている」
―仙台は思い出の地に
「今週もたくさん牛タンを食べられたので、それが力になって頑張ることができた」
―今後はどんなゴルファーに
「ずっと安定したプレーヤーになること。30歳までに年間女王になることが小さい頃から目標だった。それは今も変わらない」