
ホールアウトした谷口は関係者にねぎらわれ号泣する(カメラ・渡辺 了文)
◆男子プロゴルフツアー カシオワールドオープン 第2日(28日、高知・Kochi黒潮CC=7375ヤード、パー72)
2度賞金王に輝いたツアー通算20勝の谷口徹(57)=フリー=がホールアウト後、第一線を退くことを明かした。8位で出たが1バーディー、4ボギー、1ダブルボギーの77と崩れ、通算イーブンパーの82位で予選落ち。賞金ランキングを136位から上げられずシーズンを終了。来季シード獲得を逃したが、12月の最終予選会は「行きません」と断言した。プロ野球や米大リーグで活躍した主催者推薦出場の松坂大輔(45)は左ふくらはぎ肉離れで途中棄権。鈴木晃祐(25)=ロピア=が通算14アンダーで首位に浮上した。
予選落ちに終わり、シード獲得はならなかった。谷口は周囲に、予選会には挑まないことを明かしていた。“ラストラウンド”を見届けようと、18番グリーンには50人近い選手ら関係者が集った。若手に慕われたベテランは30歳以上年が離れた選手たちと握手、ハグ。サングラスを外すと号泣した。「最後に21勝を目指した。達成できなかったけど、最後に一番、20勝以上のすごくいい思い出ができた」と、また泣いた。
2019年に22年守った賞金シード(上位65人)を喪失。メジャー史上最年長の50歳で手にした2018年日本プロ優勝の資格で24年まで出場。今季は生涯獲得賞金ランク3位(16億6828万1089円)の資格で出場していた。シードを喪失したが、12月の最終予選会には「行きません」と断言。「引退というわけじゃないけど、自分で出る資格がなくなる。実力主義なので、推薦で出たいと思ったこともない」と第一線を退く意思を明かした。
15番のボギーで3アンダーまで落とし、カットラインを意識しながら終盤を迎えた。16番でダブルボギー、17番でボギーと失速。「優勝争いよりはるかにきつかった。最後の方は力が出なくなった」と振り返った。「今年は優勝マストという気持ちでやっていた。それが達成できなかった。一年一年ずっと、何年もそうやって思いながらやってきた」。最後まで気迫あふれるプレーを貫いた。「20回勝っているけど、つらい思いの方がはるかに何百倍も多い」と涙は止まらなかった。
予選会については「ファイナルまで行ってやるエネルギーがない」と口にし、シニアツアー参戦も視野に入れながら今後のことを考えていく。ホールアウト後は若手プロに囲まれながら送別のセレモニーに参加。トレードマークのガッツポーズの写真と、「みんなのリーダー 谷口徹 33年間 お疲れ様でした」とのメッセージがプリントされたTシャツを身にまとい、宙に舞った。(高木 恵)
◆谷口 徹(たにぐち・とおる)1968年2月10日、奈良県生まれ。57歳。13歳からゴルフを始め、大阪・PL学園高では桑田真澄氏、清原和博氏と同級生。同大時代までは目立った活躍はなく、92年のプロ入り後も無名だった。98年三菱ギャランで初優勝。2002年に4勝、07年に3勝を挙げて賞金王に。メジャーは日本オープン(04、07年)を含め5勝。得意クラブはパター。169センチ、72キロ。

