【男子ゴルフ】合言葉は「ノチジアヌルコエヨ~」李尚熹のツアー初Vを支えた亡き父、家族との絆…担当記者コラム


男子ゴルフのSansan・KBCオーガスタでツアー初優勝を飾った李尚熹

男子ゴルフのSansan・KBCオーガスタでツアー初優勝を飾った李尚熹

 男子ゴルフ日本ツアー参戦14年目の34歳、李尚熹(イ・サンヒ、韓国)が、Sansan・KBCオーガスタ(8月30日最終日、福岡・芥屋GC)でツアー初優勝を飾った。7バーディー、ボギーなしの65をマークして通算23アンダー。トップと1打差2位から逆転し、優勝賞金2000万円を獲得した。

 合言葉は「ノチジアヌルコエヨ~」だった。日本語で「のがさないわよ」という意味の韓国語。母国で人気の化粧品CMで、有名女優が「若さを逃さない」というニュアンスで語るせりふだ。最終ラウンドの前夜。担当マネジャーと焼き肉を食べて英気を養った後、別れ際に2人で冗談めかして交わした言葉が「ノチジアヌルコエヨ~」。李は初優勝のチャンスを逃さなかった。

 韓国ツアー4勝を誇るが、参戦14年目になる日本ツアーでは2位が8度と悔しさを味わってきた。22年の今大会は、首位に並んだ河本力(大和証券)に最終ホールでバーディーを奪われ、1打差2位でV逸。4年ぶりにリベンジを果たした。「2位がたくさんあった分だけ、1位にもっと近づける経験、その中で学んだことが多かった」と言葉をかみしめた。

 3年前の1月。初優勝の報告ができないまま、父・イ・ホンシッさんが72歳で他界した。李が19歳までマネジャー兼キャディーとして支えてもらい、13年の日本ツアー参戦後も3~4年目まで両親がツアーに同行してくれた。父からは、日本のことわざ「実るほど、頭を垂れる稲穂かな」の同様の意味の言葉を教え込まれ、今でも謙虚な姿勢を絶やさない。

 2012年に日本のQT(予選会)に初挑戦した際は、脳卒中からリハビリ中で歩行も困難だった父が李のプレーに着いていくと言って聞かなかった。ラウンド後には毎日、温泉に行って家族の時間を楽しんでいたという。「父が全�\x81\xA6一緒に行動しながらケアしてくれた」と感謝する。

 日本ツアー参戦2年目の14年。国内メジャー、日本ツアー選手権森ビル杯で最終日を首位で終えた後、パッティングのラインを指で押したとして2罰打を受け、初Vを逃した。その時も、父は息子を責めたりはせず「よくやった。必ず頑張ったらチャンスは来る」と背中を押してくれた。

 李は18歳上の姉、15歳上の兄がおり、3人きょうだいの末っ子で育った。マネジャーによると、李が高校時代に極寒の韓国では練習ができず、海外合宿に行くための費用を捻出するため、兄が所有していた車を売却してくれたという。両親だけでなく、家族全員の支えがあってたどりついた初優勝だった。(星野 浩司)

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