【スプリングフィールド(米ニュージャージー州)27日=高橋宏磁】米プロゴルフの今季メジャー最終戦、全米プロ選手権は28日から4日間、当地のバルタスロールGC(7428ヤード、パー70)で行われる。初の海外メジャー2戦連続予選落ちを喫している松山英樹(24)=LEXUS=は26日、前モデルのアイアンに戻すことを決断。米ツアー2勝を挙げて昨年、今年のメジャー、マスターズで2度も優勝争いに加わった“相棒”を携え、今年最後のメジャーで日本人初制覇の夢を追う。
日本の怪物が本来の姿を取り戻した。松山は得意のアイアンでスーパーショットを連発した。15番パー4は第2打を手前50センチにピタリ。17番パー5も3打目をピン左1メートルに。圧巻は554ヤードの18番パー5。残り226ヤードの第2打を5アイアンで放ち、ピン左約2メートルに楽々と2オンしてみせた。
その手には、14年2月から今年5月初めまで使用した前モデルのアイアン「スリクソンZ945」が握られていた。米ツアー2勝に15年マスターズ5位、今年の同大会7位の快進撃を支えた信頼厚い武器だ。手応えを感じさせる18ホールの練習ラウンド(R)後、松山はテレビ局のインタビューに「しっかり上位争いできるように頑張ります」と力強く言い切った。
まさかの海外メジャー2戦連続の予選落ち。低迷の要因は、代名詞でもあるアイアンショットにあった。5月から契約するダンロップスポーツ社の新アイアン「スリクソンZ765」を投入。同時にスイング改造にも取り組み、距離感に誤差が生じた。6月の全米オープンは大会前に右手を虫に刺されて腫れたままプレー。全英オープン第2日はグリーンを外して首を傾げる場面が相次ぎ、パーオン率は27・78%と低迷。大会後「何かを変えなくてはいけない」と話していた。
練習Rとはいえ、この日パーオンに失敗したのは2ホールだけ。世界屈指の精度とともに、自信も回復した。ショットの正確性が要求されるコースを前に「戻して良くなればいい。調子はいいんですけどね。常に(メジャー優勝を)目指しています」。淡々とした口調の中にも確かな自信がうかがえた。