【リオ五輪】片山晋呉選手と池田勇太選手から見る、スインガーとインパクターの特徴


 オリンピック正式種目に採用され、また選手の出場辞退で注目されている今回のゴルフですが、本来、参加選手の活躍にもっとフォーカスするべきだと思います。今回は日本代表の2人の選手にスポットを当てたいと思います。

 日本男子ゴルフの代表には、片山晋呉選手、池田勇太選手が選ばれました。
片山晋呉選手は、これまで5度の賞金王に輝き、2009年の「マスターズ」では自己ベストとなる4位に入りました。
 池田勇太選手は若い頃から注目され、20代にして「日本プロ」「日本オープン」の優勝という快挙を成し遂げ、第一線で活躍しています。

 さて今回注目すべきは、2つのタイプ、スインガーとインパクターです。

 片山選手はスインガータイプ、池田選手はインパクタータイプと言えるでしょう。
スインガータイプの片山選手の特徴は、スイング中捻じれが少ないことであり、ボールコントロールの性能が高いと言えます。また、ショートゲームの安定感も抜群です。
ゾーンに入ると一球のミスもしない完ぺきなゴルフを見せてくれます。

特徴として、以下が挙げられます。

ルーティーンが一定である
リズム、テンポが一定である
スイングプレーンが安定している
インパクト付近でのシャフトの捻じれが少ない
フォロー、フィニッシュでバランスを崩すことが少ない
忍耐力、精神力がずば抜けていて、72ホールのトータルゲームで戦い抜く戦略を常に描いている
短所を長所に変えるべく、200ヤード以上の距離をショートウッドで狙ってバーディーを取れる
ボールを曲げないことは置きにいくことではなく、振りきることであることを実践している
左右対称のスイングバランスを重要視していて、左打ちや、左手の食事を採用している
対象物に正対することを、毎回大切に考えている
自分の癖を誰よりも理解して、これに向きあい、一つ一つ克服している
非常に研究熱心であり、“勝利”に価値を見出し、貪欲である

 スインガータイプの池田選手の特徴は、構えてから打つまでが早く、イメージで体を動かすことができるボーンゴルファーであること。

 また、距離感や方向性が素晴らしく、アイアンの切れと、勝負どころの強気のパッティングが持ち味。一旦、勢いが付いたら止まることを知らない、アグレッシブな攻め方ができる稀代の名選手の1人です。

特徴として、以下が挙げられます。

自分のスタイルがある
構えてから、ボールを打つのが早い
スイングの細部には、あまりこだわらない
インパクトの感覚が、ずば抜けている
打った瞬間に、ボールの縦感、方向性、高さが読める
身体の切れが重要であり、気分の高揚をパワーに変えることができる
自分自身の感覚が全てであり、イメージとスイング動作の一致に長けている
アイアン、パター共に、打つ感覚がある
例えるなら、上達のための練習ではなく、自分の感覚を磨くための練習である
攻守がはっきりしていて、メリハリがある
ダメージに強いタイプであり、仮にミスした場合でも、精神的に引きずることはない。

 さて、アマチュアゴルファーが2人のプレーを参考にするうえでの方法をご紹介しましょう。

  1. 自分と同じスタイルのプレーを参考にする方法
  2. 自分自身が持っていない、正反対のスタイルから学ぶ方法

 前者は、完成させることが未達であるが故に、伸び悩んでいる場合に有効です。
日本を代表する名選手のプレーを見ることにより、参考になることがたくさんあると思います。
特筆すべきは、後者です。

 スインガーを目指して取り組んでいるが、抜けたようなボールしか打つことが出来ず、インパクトがボケてしまっていることがたくさんあります。

 スインガーほど、インパクトを忘れてはならず、インパクターほど、最後まで振り切ることを大切にしているものです。

 ボールを打つ感覚が少ない方は、池田選手を参考にし、インパクトでシャフトをねじってしまう方は、片山選手を参考にすると良いでしょう。

 良いゲームを目指す、1打でも少ないスコアで上がることを目的に、数十年も人生をかけて進化した形が名選手のスタイルであり、行きつくところは、両方の良さのブレンドであると私は思います。

 中継を見ていたゴルファーの皆さんがゴルフ上達へのヒントを得ることを、心から期待しております。

それでは、また次回お会いしましょう!

 

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◆小暮博則(こぐれ・ひろのり)
1972年11月27日生まれ。埼玉県出身。明治大学商学部商学科卒業。JGTO(日本ゴルフツアー機構)プロ。PGAティーチングプロ。2003年 JGTO ファイナルQT進出。2013年から東京慈恵会医科大学ゴルフ部コーチに就任している。就任後、同大学は2013年度全日本医科大学ゴルフ連盟秋季大会個人優勝、2014年度全日本医科大学ゴルフ連盟春季大会団体優勝を果たす。PFGA(パーフェクトゴルフアカデミー)のゴルフスクールを主宰し、赤坂(東京都)と小手指(埼玉県)にて展開している。 著書に『一生ブレないスイング理論 “左重心スイング理論”でゴルフの常識が変わる』(カンゼン)がある。

PFGA(パーフェクトゴルフアカデミー)ゴルフスクール
http://pfga.co.jp/

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