2015年ゴルフ賞金女王、年間7勝と圧倒的な強さを見せつけたイ・ボミ選手。
その軸が安定したスイングが武器だが、韓国ではスイングを映像で撮影して分析しながら、練習を繰り返したと言います。
今回は、映像でのスイング分析のメリットを解説していきたいと思います。
【スイング映像分析、3つのメリット】
■ メリット1 客観視できる
「もっと、トップを低くした方が良い」。仮にこのように言葉だけで表されるよりも、実際のスイングを撮影して解説するほうが、理解や上達が進みます。
大切なのは、感覚的な調整でなく、内面と外面が伴った改善です。効率的なスイングは無駄がなく美しささえも漂います。
■ メリット2 変化が分かる
「過去と現在の映像」を比較することが可能となります。
調子の波で、試合の結果を判断するのではなく、現状のパフォーマンスの高低の理由が、変化の中に読み取れます。
スイングが良い方向に変化している場合は、結果が出なくても、焦ることはありません。
反対に、悪い方向に変化しているにもかかわらず、良い結果が出ているとしたら、偶然を疑う必要があります。
大切なのは、常にスイングをチェックして、悪い変化が起きないように注意することです。
■ メリット3 目標に向かって前向きに、時間軸と結果を理解し、継続練習できる
結果が出るまでの時間は、辛く苦しく長く感じる。けれども、その先に存在するであろう目標を達成した自分は常に幸せであることを信じ、継続努力を行う。
数年前にできなかったことが、今改善されている。飛距離と方向性を手にすることができたら、それだけ目標達成が近いと言えます。
撮影・解析・ドリル・練習を繰り返すことにより、効果的に上達できるばかりか、長い時間を結果が伴う嬉しい時間に変えることができます。
【映像解析ソフトが普及しても、変わらない理由・変えられない理由】
■ 理想がない
単なるスイング記録録画では、効果を出すことは出来ません。モデルスイングとの比較により、修正ポイントの明確化を図ります。
■ 差異が分からない
アドレス、グリップ、バックスイング、ダウンスイング、インパクト等、細分化して相互比較していきます。プロやコーチは、着眼点が細かく、その手法も独自なものがあります。差異が分かることと、差異を修正することができることは違うということも重要と言えます。
■ 変わらない自分に、いつしか慣れてしまう
コーチである私が、一番陥りやすい点をお伝えします。
それは、対象物であるスイングを見慣れてしまうことで、それが良く見えてしまうことです。「ボールがターゲットに飛ぶから、この打ち方で問題ない」ということではありません。
- スイングスキルが低いレベル → 大きな違い、問題点を見つけ出しやすい
- スイングスキルが高いレベル → 細かな違い、問題点は見つけにくい
スイングの精度を上げる為には、より細かく厳格な視点を持って対応する必要があります。
【結果を出すための、理想的な方法】
■ コーチを依頼する
選手は選手の役割があります。コーチはコーチの役割があります。
スイングの問題点は、コーチに任せ、プレーヤーはコースで戦うべきであり、スイングと戦うのはコーチに任せるべきです。体力や気力は無尽蔵ではなく、長い戦いでは、分担により勝機を得やすくなると言えます。
選手曰く「必死で練習しています。コーチもいます。スイングの問題点はコーチに任せ、結果は全て自分のおかげです」。このくらい割り切った関係が理想だと思います。
■ 目標にむかって、強くコミットする
「こうなれば、いいな」→「絶対に、達成するぞ」
「優勝できたら、いいな」→「俺が必ず、優勝するぞ」
甘い言葉は、努力も甘く、結果は期待値以下になりがちです。強く願ったとしても、結果が伴わないことがほとんどです。
試合では、優勝者が1名であり、それ以外は努力や練習の先にある目標である優勝へは届きません。だからこそ、目標に強くコミットする必要があります。
■ 変化を楽しみ、達成を期待し、継続努力をあきらめない
「戦いの舞台では、最後に生き残って立っていたものが勝者である。強いかどうかは関係ない」。このようなフレーズをゴルフで置き換えるなら、「優勝したものが強いのであり、どんなに練習したかどうかは関係ない」。結果が全てであることは、当然であります。
結果を出すには、その過程である練習を飽きずに続けられるか、練習に工夫をこらし、変化を楽しめるかが大切なポイントとなります。
スイング撮影は、変化を見分けられるその1つとなります。
男子ツアーに目を向けますと、バットによる左打ち、パッティングによる左手リード、バンカーからのアプローチ練習等が挙げられます。長くゴルフと向き合うプロだからこそ、新鮮さや、気付きを大切にしているものです。
サイト御覧の皆様、今回の内容はいかがでしたでしょうか?
表面的なスイング撮影だけでなく、長くゴルフを楽しむ、戦うためにも必要であることを伝えられたらと思います。
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◆小暮博則(こぐれ・ひろのり)
1972年11月27日生まれ。埼玉県出身。明治大学商学部商学科卒業。JGTO(日本ゴルフツアー機構)プロ。PGAティーチングプロ。2003年 JGTO ファイナルQT進出。2013年から東京慈恵会医科大学ゴルフ部コーチに就任している。就任後、同大学は2013年度全日本医科大学ゴルフ連盟秋季大会個人優勝、2014年度全日本医科大学ゴルフ連盟春季大会団体優勝を果たす。PFGA(パーフェクトゴルフアカデミー)のゴルフスクールを主宰し、赤坂(東京都)と小手指(埼玉県)にて展開している。 著書に『一生ブレないスイング理論 “左重心スイング理論”でゴルフの常識が変わる』(カンゼン)がある。
PFGA(パーフェクトゴルフアカデミー)ゴルフスクール
http://pfga.co.jp/