笠りつ子、POでボミ破った通算5勝目!4日間大会日本人連敗も11で止めた


優勝杯にキスをする笠

優勝杯にキスをする笠

 ◆女子プロゴルフツアー ニトリレディス最終日(28日、北海道・小樽CC、6494ヤード=パー72)

 首位と3打差の5位で出た笠りつ子(28)=京セラ=が5バーディー、2ボギーの69で回り、通算7アンダーで並んだ韓国のイ・ボミ(28)=延田グループ=とのプレーオフ(PO)を2ホール目で制し、2週ぶりの通算5勝目を挙げた。

 PO通算8勝2敗となったボミの黒星はいずれも笠がつけたもの。今季賞金ランクで日本人トップの2位に浮上した“ボミ・ストッパー”は、2年連続賞金女王へ独走する絶対女王に待ったをかけた。

 明るい笑顔が、夏空の広がる北の大地に咲いた。PO2ホール目の18番。笠が放った2メートルのウィニングパットはカップに吸い込まれた。「最後まで何が起きるか分からないと思っていた」。より実力差の出る4日間大会の日本人Vは、昨年6月のサントリーレディスを制した成田美寿々以来12戦ぶり。重圧から解放されると、右手を上に目いっぱい伸ばして観衆に手を振った。

 同じくボミを退けた15年3月のアクサレディス宮崎以来、自身2度目のPO。「イボマー」と呼ばれる熱烈応援団が取り囲む中、今大会前までPO8勝1敗で笠以外には負けなしの女王に再び土をつけた。会場は違うが、11年には同じ8月28日にプロ初勝利を挙げていた大会。「忘れられない日だなと思ってプレーした。コースに勝てたかな」。思い出を胸に出場選手中、唯一の4日間アンダーパー。難コースを攻略し、出場3戦連続Vを狙った昨季賞金女王の勢いを食い止めた。

 最近は周囲に「見ていて元気をもらえる」「明るいね」と、よく言われるようになった。きっかけは4月に地元を襲った熊本地震。「今あるものが、明日はないかもしれない。今日を一生懸命、生きようと思ってプレーしている」。自らも身をもって味わった恐怖。「ゴルフができて幸せ」と思う気持ちが、笑顔となってあふれ出ている。

 初の年間複数回優勝で賞金1800万円を上乗せし、年間獲得賞金は自己最高を更新する9089万2166円に。次戦は9月8日開幕の日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯(北海道・登別CC)を予定している。国内メジャーは14年の同大会以来、外国人が8連勝中だ。「日本のツアーは日本人で盛り上げたい。もっともっと強い選手になれるように頑張ります。(賞金)女王は頭の片隅に置きたい」。初の賞金女王へ、負けん気の強い熊本美女が決意を込めた。(浜田 洋平)

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