鬼頭桜“幻のイーグル失格”悪夢乗り越え1差3位発進


10番、ティーショットを放つ鬼頭桜。4アンダーで首位と1打差の3位につけた

 ◆女子プロゴルフツアー 報知新聞社共催 スタジオアリス女子オープン第1日(7日、兵庫・花屋敷GCよかわC、6293ヤード=パー72)

 ツアー未勝利の鬼頭桜(22)=フリー=が5バーディー、1ボギーのツアー自己ベスト68で回り、首位と1打差の3位で好発進した。昨年大会では、初日の10番でカップとピンの間に挟まったボールを拾い上げてしまう“幻のイーグル”で失格処分。今年は同じホールでバーディー発進し、初Vに向けて悪夢を払拭した。笠りつ子(29)=京セラ=、韓国の申ジエ(28)=スリーボンド=が5アンダーで首位。

 1年前の悪夢が脳裏をよぎった。出だしの10番。鬼頭は慎重にパットを転がした。カコン―。2メートル先のカップに吸い込まれ、心地よい音を響かせた。「早いですね。もう1年がたちました」。しっかりとカップインした球を自信を持って拾い上げ、正真正銘のバーディーで勢いに乗った。

 昨年大会は初日に67で回り、1打差の2位で好スタート。しかし、イーグルとした10番で違反があったことを翌日に知らされ、失格処分となった(記録は取り消し)。天国から地獄に突き落とされ「知らないのは恥ずかしいこと」と猛省した末に「積極的にやっていこうかな」とルールも勉強した。今回は「あのこと(失格)は思い出す」と迎えた同じ10番で悪夢を振り払うと、16番で2メートル、後半2番で4メートルを入れて伸ばした。5番では、残り85ヤードの第3打を80センチにピタリ。伸ばしどころの4つのパー5全てで確実にバーディーを奪い、昨年と同じ1打差で3位につけた。

 昨季はレギュラーツアー3試合に出場し、失格と予選落ちが2度。12月の最終予選会は53位で今季も出場試合は限られる。それでも「今年は気持ちを切り替えて」臨んだ自身今季初戦の前週、ヤマハレディースで2日目にホールインワンを達成。「ラッキーだった」と試合では初のエースで26位となった。「去年より楽しくやろうと心がけている。ショットは迷わず、気持ちよく振れている」。好スコアの一番の要因は心の充実だ。

 プロ転向した2014年の日本女子オープン16位が自己最高位。「コースマネジメントをしっかりやって、楽しくプレーしたい」。文句なしのゴルフを続け、ツアー初優勝の桜を咲かす。(浜田 洋平)

 ◆鬼頭 桜(きとう・さくら)1995年1月30日、愛知・名古屋市生まれ。22歳。3歳でゴルフを始める。岐阜・美濃加茂高3年の2012年に日本ジュニア優勝。14年にプロテスト合格。15年にステップアップツアーで1勝。昨年末の最終予選会53位。血液型A。162センチ、65キロ。

 ◆鬼頭の幻のイーグル 昨年大会初日の10番パー5、第3打がカップとピンの間に挟まれた。選手、または選手が認めた者(キャディーら)がピンを動かし、ボールを入れればプレーが認められたが、ルールを知らずに拾い上げてプレーを続行した。球全体がカップ内に収まらなければホールアウトとみなされず、第2日のスタート後、ギャラリーの大会本部への電話で判明。鬼頭は通算1アンダーで2日間を終えたが、成績が取り消されて失格処分となった。大会関係者は「これまで記憶にない」と驚き、記録の残る90年以降では初の珍事となった。

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