池村寛世4差3位、6位以下なら焼酎「魔王」原料イモ堀り家業手伝い


1番、ティーショットを放つ池村寛世。通算15アンダーで3位につけた(カメラ・谷口 健二)

 ◆男子プロゴルフツアーツアー・ワールドカップ第3日(7日、愛知・京和CC=7190ヤード、パー71)

 10位で出た池村寛世(22)=フリー=が9バーディー、2ボギーのベストスコア64をマーク。通算15アンダーで首位と4打差の3位に浮上した。高級芋焼酎「魔王」の原料となるサツマイモ農家の長男は、プロゴルファーとしての未来をかけ、最終日逆転でのツアー初優勝を目指す。初日からの首位を守り、宮里優作(37)=フリー=が19アンダーで今季3勝目に王手をかけた。

 崖っぷちの22歳が勝利の美酒に酔うチャンスを手にした。池村はラウンド後「満足。パットが今週は自信を持って打てている。明日も(第1打が)フェアウェーに行ったホールは、ピンを攻めて重圧をかけられたら」と2年シードを得られる初優勝に照準を定めた。

 好パットを連発し、ツアー自己最多の9バーディーを奪った。3番と10番、14番で2メートル、5番と9番で4メートルを沈めて伸ばした。雨でも速さの出る高速グリーンに適応。「ストロークが良くて思った所に打てて、距離感も合う」と胸を張る。

 鹿児島の実家は、入手困難な芋焼酎「魔王」の原料を出荷するサツマイモ農家だ。小学3年生から畑仕事を手伝い、下半身が発達。身長166センチながら今季ツアー16位の平均飛距離295・63ヤードを誇る。4人きょうだいの長男で、試合のない週は家業を手伝う。両親から「試合に行くお金がなくなったら家を継げ」と厳命されてきた。最近は5歳下の次男も家業を手伝い始め、ゴルフで独り立ちするチャンスだという。

 今大会は運命の一戦だ。今季12戦目で15位が最高で賞金ランク95位。今後のツアーへの出場権を得るには今大会5位以上が最低条件となる。「駄目なら下部ツアーに2試合に出て(来季出場権のかかる)予選会に行って、収穫時期で忙しいので家業を手伝う」と腹をくくっている。

 素顔は「芋焼酎はにおいが駄目」と苦笑いする、ハイボール党だ。15年カシオワールドオープン12位がツアー最高成績。「食らいつきたい」と農作業で培った辛抱強さで“実りの秋”を迎える。(榎本 友一)

 ◆池村 寛世(いけむら・ともよ)1995年8月30日、鹿児島・志布志市生まれ。22歳。10歳でゴルフを始め、尚志館高1年で国体個人戦優勝。2年時に半年間、豪州ゴールドコーストにゴルフ留学。帰国後に高校を中退し、2013年にプロ合格。15、16年の下部ツアーで計3勝。昨年の最終予選会12位の資格で今季レギュラーツアーに出場し賞金ランク95位。家族は両親、妹、弟2人。166センチ、72キロ。血液型O。

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