吉田弓美子「忘れられない優勝」キャディーまさかのミスで1打罰も7勝目


18番、バーディーパットで優勝を決め、ガッツポーズする吉田弓美子

 ◆女子プロゴルフツアー スタンレーレディス最終日(8日、静岡・東名CC)

 2打差3位から出た吉田弓美子(30)=フリー=が、ハプニングを乗り越えて70で回り、通算7勝目を飾った。13番のグリーン上で、キャディーがパットを打つ前にボールマークを拾い上げ、ゴルフ規則20―1に違反。1打の罰を受けたが17、18番で連続バーディー。通算9アンダーで逆転で今季2勝目。約6年ぶりの優勝を狙った藤本麻子(27)=三愛石油=が2位。3週連続優勝を狙った畑岡奈紗(18)=森ビル=は通算6アンダーの6位だった。

 2選手と首位で並んで迎えた最終18番。約3メートルのバーディーパットを沈めた吉田は、お互いに目を真っ赤にしながら川口大二キャディー(41)と抱擁を交わした。1罰打の“ハンデ”をはね返しての優勝に「私にとってもキャディーにとっても、忘れられない優勝」と喜びをかみ締めた。

 13番、約5メートルのバーディーパットを打つ直前だった。球をマークした後、ボールマーカーの後ろにボールを置き直して、カップの向こう側に移動しラインを読んだ。するとキャディーが球の位置を元の場所に戻さず、ボールマーカーを拾い上げた。ゴルフ規則20―1に違反。1打の罰を受けた。

 まさかのミスで首位と2打差に後退。ツアー6勝の実力者も、動揺したという。「今まで経験したことがない。空を見上げたりして、心を落ち着かせた」。17番でバーディーを奪い、1打差に。最後まで冷静さを失わずにプレーした吉田に対し、川口キャディーは「18番のパットを打つ前『決めるから』と言ってくれた」と感謝しきりだった。

 先月からパターの握りを、約16年ぶりに逆手から順手に変えるなどの挑戦も実った。「ゴルフの可能性は無限大だと思います」。最後は晴れやかに笑っていた。(高橋 宏磁)

 ◆ゴルフ規則20―1の要約 球を拾い上げたり、球の位置をマークしている時に球やボールマーカーが偶然に動かされた場合、その球やボールマーカーはリプレースされなければならない。プレーヤーやキャディーが同規則に違反した場合は、プレーヤーは1打の罰を受ける。

 ◆吉田 弓美子(よしだ・ゆみこ)1987年4月28日、相模原市生まれ。30歳。10歳でゴルフを始め、09年のプロテストでトップ合格。13年に3勝で自己最高の賞金ランク5位に入った。昨季は賞金ランク18位。趣味はダーツとアニメ観賞。家族は両親と兄2人。164センチ、65キロ。

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