畑岡奈紗、米ツアー日本勢最年少V「藍さんのバトンを引き継いで盛り上げたい」


 ◆米女子プロゴルフツアー アーカンソー選手権最終日(24日、米アーカンソー州ピナクルCC=6331ヤード、パー71)

 首位タイから出た畑岡奈紗(19)=森ビル=は8バーディー、ボギーなしの63で回り、通算21アンダーで米ツアー初優勝を果たした。12年に宮里藍さん(33)が現役最後に制した大会で、日本勢では昨年4月の野村敏京以来の優勝で10人目。19歳での栄冠は12年に22歳で1勝した宮里美香(28)を抜く最年少で、10代Vも日本男女通じて初となった。次週の全米女子プロ選手権(28日開幕・ケンパーレイクスGC)で、1977年の樋口久子以来日本女子2人目のメジャー制覇に挑む。

 初Vと思えないほど堂々の圧勝劇だった。最後まで攻め抜いた畑岡は18番の第3打をピン脇20センチにつけ、バーディー締め。この日最少の63で2位に6打差。憧れの藍さんが6年前、最後に優勝した大会で米ツアー初勝利を挙げた。19日に藍さんと結婚した座親匠氏(37)が今年から畑岡のマネジャーを務める。歴代優勝者写真の藍さんの前でトロフィーを掲げた畑岡は「ずっと藍さんを目標にやってきた。まだほど遠いが、バトンを引き継いで盛り上げたい」と笑顔を輝かせた。

 名前は米航空宇宙局(NASA)に由来する。「誰も届かない域まで達してほしい」と両親が込めた思いを体現した。大会記録の通算21アンダー。3番でグリーン右からのチップインバーディーで勢いに乗った。同じ最終組の強豪トンプソン(米国)、リー(豪州)が伸び悩む中、「自分のプレーだけに集中した」と力を出し切った。

 藍さんが米ツアーで5勝して世界ランク1位になった2010年に競技を始めた。アマチュアの16年、日本女子オープンを制した。背中を追うように飛び込んだ米国で昨季は低迷した。時差、言葉の壁、移動などに苦しみ、19戦で予選通過7戦のみの賞金ランク140位。「日本に帰りたい」と泣いた日もあった。そんな頃、藍さんに食事へ誘われ、助言を受けた。「声を掛けてもらえて本当にうれしかった。話を聞いてもらっただけで、すごく落ち着いた」と振り返る。

 家族の支えも大きい。今年、父・仁一氏(53)は1年間休職し、家事や妹の面倒を見る。母・博美さん(48)が畑岡に帯同。23日の夕飯は畑岡が好きなカレーと空揚げだった。「家族のサポートがなかったら、ここまで来られなかった」(畑岡)。次戦のメジャー、全米女子プロへ自信を深めた19歳は「気を引き締めて」挑む。来季から2年間のシードも獲得。腰を据え、世界一の座と20年東京五輪の金メダルを目指す。

 ◆畑岡 奈紗(はたおか・なさ)1999年1月13日、茨城・笠間市生まれ。19歳。11歳で本格的にゴルフを始め、14年日本ジュニア2位。15、16年世界ジュニア優勝。15年国体女子V。16年全米女子アマ8強。16、17年日本女子オープンなど日本ツアー通算3勝。158センチ、61キロ。家族は両親と妹。

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