5位スタート小祝の好調の秘密…1000円のアルミ板で4万倍稼いだ


細いアルミ板を使ってパット練習する小祝さくら

細いアルミ板を使ってパット練習する小祝さくら

 ◆女子プロゴルフツアー NEC軽井沢72 第1日(10日、長野・軽井沢72G北C=6655ヤード、パー72)

 ツアー本格参戦1年目ながら賞金ランク10位と大健闘している小祝さくら(20)=ニトリ=が5バーディー、ボギーなしの67で回り、首位と4打差の5位と好スタートを切った。好調の秘密はホームセンターで約1000円で販売されている幅2センチ弱、長さ1メートル強のアルミ板の上にボールを転がすパット練習。正確なストロークでツアー初優勝を狙う。韓国の黄アルム(30)=フリー=が大会コースタイ記録の9アンダーで首位。

 2~3メートルの微妙な距離のパットを次々と沈め、67の好スコアで第1ラウンドを終えた小祝は、慢心することなく、練習グリーンに向かった。そこには世にも奇妙な練習器具があった。

 幅2センチ弱、長さ1メートル強、厚さは1ミリのアルミ板だ。中央にくぼみがあるレール状のパット専用の練習器具ではない。ボールを慎重に置かなければ、すぐに板の上からこぼれ落ちるほどの繊細さだ。もちろん、水平なラインに設置することが絶対条件。小祝は集中した表情で練習を続けた。「しっかりヒットさせて芯をとらえないと真っすぐいかない」と説明する。正確な順回転を生み出すためのシビアな練習だ。

 ボールの直径(約4・3センチ)の約半分の幅のアルミ板の上を1メートルもボールを転がすパッティングは、トッププロならではの技術。「多分、一般アマチュアの方がこの上で打ったらすぐにボールは落ちてしまうと思いますよ」とにこやかに話した。

 このアルミ板は特注品ではない。「普通にホームセンターで売られている板です。たぶん、1000円くらい」と小祝は笑顔で話す。

 今季、ツアー本格参戦ながら3903万4951円を稼ぎ、賞金ランクは堂々の10位。1000円のアルミ板はその約4万倍の賞金をもたらした。

 もちろん、陰の努力があっての成果だ。「この練習を4月に始めた頃はすぐにボールが板から落ちた。イライラするほどでした。ようやく最近、1メートル先まで転がせる回数が増えてきた」と話す。練習グリーン上だけではなく、ホテルにも持ち帰り、部屋でもボールを転がす日々を過ごした。「今季前半戦はパットがひどすぎた。開幕からずっとこの練習を続けてきたけど、それでも調子が悪かった。でも、練習を続けることで確実に良くなって、最近は2メートルの距離が入るようになってきた」と充実の表情を見せた。

 2位2回を含め、トップ5入りは5回。念願の初優勝は近い。1000円のアルミ板は、小祝にプライスレスの可能性を与えている。

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