◆女子プロゴルフツアー伊藤園レディス 最終日(11日、千葉・グレートアイランドC=6741ヤード、パー72)
首位からスタートした松田鈴英(れい、20)=ニトリ=は3バーディー、4ボギー、1ダブルボギーの75と崩れ、通算8アンダーで5打差の10位に終わった。「寝ただけ力になります。昨日も7時半には眠れました」という“眠れる美女”は2度目の最終日最終組に挑んだが、念願の初優勝は遠かった。
1打差2位からスタートした韓国の黄アルム(31)=フリー=が通算13アンダーで今季3勝目、通算4勝目を挙げた。1打差の2位は永井花奈(21)=デンソー=と韓国のアン・ソンジュ(31)=モスバーガー=。昨季の賞金女王で賞金ランク3位の鈴木愛(24)=セールスフォース=は通算9アンダーの6位。賞金ランク首位のアンとの差が広がり、2年連続賞金女王の可能性がなくなった。
最終18番。悲鳴が上がった。残り120ヤードからピッチングウェッジで放った松田の第3打はグリーン左奥の池に消えた。最終ホールでダブルボギーをたたき、スタート前の首位から10位に転落した。
「今の実力通りと思います」と涙をこらえて話した。
167センチ、54キロとモデル並みの細身ながらドライバー飛距離ランク8位(247・501ヤード)の飛ばし屋。パワーの源は豊富な睡眠時間。「普段は午後6時半から7時に寝ています。寝ただけ力になります。昨日(10日)も7時半には眠れました」。“眠り姫”は午前5時30分の起床時間まで、たっぷりと10時間の睡眠時間を取ってコース入りしたが、スタートすると思うように体が動かなかった。
2番から3連続ボギーと序盤で崩れ「緊張感がありました」。5番、6番と連続バーディーと盛り返したものの、9番で痛恨のボギー。勝利への流れを失った。「3連続ボギーをたたいても優勝を諦めていませんでしたが、力が足りなかった。しようがありません」と肩を落とした。
初の最終日最終組に臨んだ2週前のNOBUTAグループマスターズGCレディースでは15番終了時点で首位と1打差まで迫ったが、残り3ホールで3つスコアを落とす大崩れ。4位に沈み、悔し涙を流した。今回も初優勝への道は遠く、険しかった。
それでも今季8回目のトップ10入り。賞金ランク15位で初の賞金シードを獲得。トップ25選手だけが出られる最終戦、ツアー選手権リコーカップ参戦も確実としている。
飛躍の秘訣(ひけつ)は豊富な睡眠時間と筋力トレーニング。ツアー遠征先のホテルに戻った後、毎日、体幹トレーニングを欠かさない。大会前の毎週火曜日には専門トレーナーの指導のもと筋力アップに励んでいる。重点的に鍛えているのは「おケツです」とほほ笑む。
大ブレークした18年シーズンも残り2試合。「目標は優勝争い、そして優勝すること」と前を向く。“眠り姫”が覚醒する日は近い。