◆女子プロゴルフツアー ヤマハレディース最終日(7日、葛城GC山名C)
4打差3位から出た成田美寿々(26)=オンワードホールディングス=が6バーディー、1ボギーのベストスコア67で回り、通算5アンダーで最終日の逆転では8勝目となる通算12勝目を飾った。昨季賞金女王のアン・ソンジュ(韓国)を最終18番で退け、世界ランク上位2枠を争う来夏の東京五輪出場へ、日本人6番手から逆襲を図る。日本勢は開幕5連勝となり、11連勝した2005年以来14年ぶりとなった。
逆転ドラマの幕切れは劇的だった。18番パー5、成田は残り233ヤードからピン10メートルに2オン。「3パットはしたくない」。強気に放った2メートルのバーディーパットがカップに消えると、右手を突き上げた。12勝中6勝が4日間という得意の長丁場で本領を発揮した。
女王アンと4打差で出た。「百戦錬磨のソンジュを逆転するのは、正直あり得ない」と目の前の一打に集中。14番で単独首位に立つも、17番で同スコア。だが「こんなに面白い最終ホールってあるんだ」と状況を楽しむ余裕があった。
オフの米合宿で飛距離アップを図った。昨季の3勝を超える年間5勝の目標は「賞金女王より五輪」のため。120キロのおもりでのスクワットから、軽いものを素早く振る練習などで、ヘッドスピードは以前より秒速1・5メートル増の44・5メートルに。「5ヤードほど伸びた」ことで「葛城が短く感じた」と、過去予選落ち3度で最高40位と苦手だった難コースを攻略した。
日本勢の開幕5連勝は14年ぶりだ。米ツアー優勝の畑岡に、鈴木、比嘉ら五輪切符を争うライバルの早々の優勝に「焦っていた」と打ち明ける。代表争いは来年6月末の世界ランク上位2人に与えられ、現在6番手(ランク64位)。来月末にはメジャーの全米女子オープン(CCチャールストン)に挑戦し、ポイント加算を狙う。「(本来の)伸ばすゴルフに、耐えるゴルフができた。また違う成田美寿々が生まれた」。五輪の逆転選出へ、大きな自信を手にした。(岩原 正幸)