◆女子プロゴルフツアー パナソニックレディース最終日(5日、千葉・浜野GC)
2打差7位から出た勝みなみ(20)=明治安田生命=が、逆転で令和初大会の女王に輝いた。7バーディー、2ボギーの67で回り、通算12アンダーで並んだ全美貞(韓国)とのプレーオフ(PO)を1ホール目で制し、昨年11月の大王製紙エリエールレディス以来の通算3勝目(アマの1勝含む)。鹿児島市から応援に駆けつけた父・秀樹さん(49)の目前で初めて優勝を届け「こどもの日」に親孝行を成し遂げた。
18番パー5で行われたPO。ピン右7メートルに2オンした勝は冷静に2パットでバーディーとし、パーだった全を退け両手を上げた。「良かった。長い一日でした」。午前10時5分にスタートしたが途中で2時間27分の雷雨による中断を挟み、決着は日没寸前の午後6時23分。8時間超の長丁場を制し、暗闇でスポットライトに照らされた優勝スピーチで「令和初めての試合で優勝することができて光栄です」と感謝した。
勝ちたい理由があった。父が大型連休を利用して観戦に訪れていた。今季観戦の2試合は予選落ちと41位。「本当は最終組で格好いい姿を見せたかったけど、優勝を届けられてうれしい」。鹿児島市内の小学校で教員を務める父は、勝がアマ時代の高校1年で初優勝した14年4月から5年間、同県最南端の与論島に赴任していたため、今回初めて優勝を見ることができた。「成長しましたね」と感激の表情を浮かべた。
9戦中予選通過1度と極度の不振に陥っていた昨秋、普段はあまり連絡を取らない父に「つらい…。うまくいかない」と電話で打ち明けた。「周りの人のアドバイスを聞きながら、初心に戻って頑張りな」。こう助言され、昨年11月にプロ初優勝。同年末には「おごるから」と鹿児島市内のすし店へ父と2人で飲みに行った。涙を流して喜ぶ父と、日本酒を一升(1・8リットル)は空けたという。
2月には与論島を訪れて地元の子供たちにゴルフを教え、釣りも楽しむなどリフレッシュした。試合後に「5月5日(こどもの日)だから、何かいいことあるかなと思った」と話した一人娘は、これ以上ない親孝行に笑顔を咲かせた。
次週は国内メジャー今季初戦のワールドレディスサロンパスカップ(9日開幕・茨城GC東C、報知新聞社後援)。「楽しくやれれば結果はついてくる」。98年度生まれ「黄金世代」の筆頭格は、令和連勝と初のメジャータイトルに挑む。(岩原 正幸)