◆男子プロゴルフツアー 中日クラウンズ 最終日(5日、愛知・名古屋GC和合C、6557ヤード=パー70)
1打差2位で出た宮本勝昌(46)=ハートンホテル=が6バーディー、3ボギー、1ダブルボギーの69をマーク。通算9アンダーで2017年7月以来の通算12勝目を挙げた。昨季不振で19年ぶりの賞金シード喪失を味わった2児のパパは、「こどもの日」に妻子と師匠の前で劇的な逆転劇を演じて、新元号・令和で最初の王者に。21年までのシードと2年ぶりのメジャー、日本シリーズJTカップ(12月5~8日・東京よみうりCC)出場権も手にした。
昭和生まれの“お祭り男”宮本が、令和最初の王者となった。首位タイで迎えた最終18番。8メートルのバーディーパットは、最後の一転がりでカップへ消えた。家族の前で優勝したのは14年の日本シリーズJTカップ以来5年ぶり。首位が目まぐるしく変わった大混戦を制し、「もう感無量。信じられなくて、ガッツポーズも出なかったですね」と、苦笑いした。優勝会見では「やりましたね。令和最初の男になりました」と、満面の笑みだ。
前夜、家族と名古屋名物のひつまぶしを食べながら、「明日の目標は1つ伸ばすこと」と宣言。有言実行の69で今大会唯一の4日間60台を並べた。こどもの日に最高の思い出を贈り、ゴルフを始めている長男・翔太郎君(13)と次男・悠生君(11)は、「お父さんは家と試合では格好よかった。ずっと活躍してほしいです」と、尊敬のまなざしを向けた。
小技が苦手なベテランはシード復帰に向け、ショートゲームを徹底的に磨いた。妻・朋美さん(46)は「家族で遠出をして帰った後も、少しでも時間があれば30分、1時間でも練習に行っていました」と明かした。グリーンが硬く小さい今大会は過去21回出場のうち13年の9位が最高で、トップ10入りは1度だけ。「今までの中で一番ビックリな優勝。和合で勝つことは一生無理だと思っていました。でも今年は、いつもより難しさを感じなかったですね」と、胸を張った。
06~11年に151試合連続出場記録を作った“鉄人”も、昨年から腰痛など体に変調をきたした。昨年6月にはウイルスに感染し、神経性のフィッシャー症候群に。「地面がゆがんで見えた」と自宅で療養し、1試合を欠場したが、通院して1か月弱で完治した。
今季ツアーでは日本人最初の優勝で、2年ぶり17度目の日本シリーズ出場権も獲得した。歴代3位となる3度の優勝を誇る“シリーズ男”は、「僕が一番うれしいですよ。シリーズは土日に家族が応援に来てくれるので」と、目尻を下げた。妻子の声援を力に変え、令和最初の日本シリーズでも“王者の中の王者”になる。(榎本 友一)