男子プロゴルフツアーの今季最終戦、日本シリーズJTカップは5日から4日間、東京・稲城市の東京よみうりCC(7023ヤード、パー70)で行われる。「日本男子ツアー最強決定戦ウィーク」が始まった2日、出場30選手の中で唯一、宮本勝昌(47)=ハートンホテル=がコースに現れ、ツアー屈指の超高速グリーンとして有名な18番パー3(227ヤード)を“独り占め”にして練習。今大会3勝の「シリーズ男」は5年ぶり4度目の栄冠に向けて臨戦態勢を整えた。
「シリーズ男」の名はダテではない。
午後2時。宮本が東京よみうりCCに現れると同時に、それまでの豪雨がやみ、晴れた。そして、コースには虹がかかった。「思わず拝みました」。宮本は柔和な笑みで話した。
この日、練習に現れた出場選手は1人。宮本は、クラブハウスでコーヒーをゆっくりと飲んだ後、名門コースを独り占めにした。この日の練習はパットだけ。パター1本を手にすると、奥から手前に強い傾斜がある18番グリーンへ向かった。
「貸し切りだ~」
「奥からだとボールがグリーンを出ちゃうよ」
「相変わらず厳しい」
「やばいね。でも、すごく楽しいんだけど」
「最終日のピン位置はここかな?」
「試合になると、怖いな。でも、東京よみうりCCの18番はこうでなくっちゃ」
第1日から最終日まで4ラウンドのカップ位置を想定しながら、笑顔でボールを転がし続けた。
初出場だった1998年大会で、いきなり優勝。以来、2001年大会、14年大会も制覇。大会歴代3位に並ぶ3勝を誇る。ツアー通算12勝のうち、4分の1を東京よみうりCCで挙げている。コースとの相性は抜群だ。
前週のカシオワールドオープンは5位と好調。大会歴代トップの尾崎将司(7勝)に次いで、青木功に並ぶ歴代2位の4勝目への期待がかかる。ただ、笑顔満開だった約30分間の練習とは一転、2年ぶり17回目の出場となる今大会にかける意気込みを問われると、表情は変わった。
「2年前に出られた時、今回が最後かも、と思ってプレーした。それは、今年も同じ。今回が最後かも、と覚悟して全力でプレーします。渋野日向子はスタート前にコースにお辞儀する。僕はコースに拝んでからスタートします」
今大会出場選手では50歳の藤田寛之(葛城GC)に次いで、Y・E・ヤン(NOW ON)と並び2番目のベテランは神妙な顔つきで、今季最終戦にかける意気込みを明かした。
宮本勝昌。47歳。日本シリーズJTカップの重みを知っている。