国内男子ゴルフツアー最終戦のメジャー、日本シリーズJTカップ(報知新聞社主催)で大会4年ぶり2度目の優勝を果たした石川遼(28)=カシオ=は9日、都内で日本ゴルフツアー機構(JGTO)の年間表彰式に出席。世界ランクは日本勢3番手の82位に上がり、来年の東京五輪代表入りに向けて6月の海外メジャー、全米オープンをラストチャンスにするべく国内ツアーのない2、3月は海外遠征する“五輪代表入りプラン”を明かした。ツアー5人目の2年連続賞金王の今平周吾(27)が最多4冠を獲得した。
歓喜から一夜明け、“五輪代表入りロード”の輪郭が見えてきた。石川は選手会長として表彰式後、会見に臨んだ。五輪切符を争う今平が隣に座る中、「一年の集大成の試合で勝つことができて、すごくうれしかった」と振り返りつつ「(世界ランクで)周吾が落ちてくることはないと考えている。6月までまだ半年ある。ベストを尽くして自分が上がっていくしかない」と決然と言い放った。
自身初の同一年メジャー2冠で、世界ランクは113位から日本勢3番手の82位まで浮上。逆転で五輪代表圏内の2番手に入る鍵は、世界ランクのポイントの大きい海外メジャーだ。「五輪はすごく良い目標。6月の全米オープンをラストチャンスにしたい、というのが今の思い」とランク60位以内が条件のメジャーを最後の関門とした。
全米オープンから五輪切符をつかむため、逆算も頭の中に浮かんでいる。「ただたくさん試合に出ればいいわけではない。1月はシンガポールオープン。2月はニュージーランド、豪州、米国もツアーがあるし、どの試合に出るかが難しい」。2月、3月は主催者推薦などで海外ツアーの試合を模索していくとみられる。
1、2月にポイントを稼げば、世界ランク50位以内が出場資格の来年4月のマスターズ、100位前後が目安の5月の全米プロと2つのメジャー出場も現実味を帯びてくる。15年全米オープン以来のメジャー出場を狙う石川は「五輪を意識する位置にいるからこそ、慎重に決めたい。良いパフォーマンスを出せる日程にしたい」とうなずいた。
試合に出ても好成績を残せなければ世界ランクは下がる。とはいえ、試合に出なければ上がらない。松山英樹、今平を追う石川にとっては、来年4月に開幕する国内ツアーでは6月までの“開幕ダッシュ”が不可欠。「50%くらいの確率で勝たないと」と石川。2差5位から逆転優勝した日本シリーズと同じく、不屈の闘志でミラクルを呼び起こす。(榎本 友一)
〇…年間表彰式で石川は「バーディー率賞」「記者賞」の2冠を獲得した。1ラウンドごとのバーディー獲得率は、08年のプロ転向後、自己最高の4・55で8年ぶり4度目の受賞となった。今季は腰痛で春の4試合を欠場しており、バーディー数は全体7位の287個だった。上下黒のスーツに身を包んだ石川は「バーディー率は評価できます。毎日、バーディー4個以上を達成できて良かった」と、さわやかな笑顔を浮かべた。
◆ゴルフ東京五輪への道 男子は20年6月23日時点の世界ランクを基準に算定する五輪ポイント上位60人が出場権を獲得。〈1〉同ランク15位以内は各国・地域で最大4人〈2〉16位以下は〈1〉の有資格者を含み最大2人が出られる。男子は20年7月30日から4日間、埼玉・霞ケ関CCで72ホールストロークプレーの個人戦で競う。8日時点の世界ランクでは松山英樹が1番手の21位、今平周吾が2番手の32位で代表圏内。16年リオ五輪で日本男子は初出場して池田勇太が21位、片山晋呉が54位。