アマ世界1位の金谷拓実プロ転向、憧れ大学先輩・松山英樹と同じ道歩む…15日開幕日本オープンから


先月5日のフジサンケイクラシックで、ティーショットを放つ金谷

先月5日のフジサンケイクラシックで、ティーショットを放つ金谷

 男子ゴルフの世界アマチュアランク1位の金谷拓実(22)=東北福祉大4年=が次戦に予定している国内最高峰のメジャー、日本オープン(15~18日、千葉紫CCすみれC)からプロに転向することが1日、分かった。複数のツアー関係者によると、既にプロとして出場登録を済ませているという。昨年11月の三井住友VISA太平洋マスターズで史上4人目のアマ優勝を飾った逸材は、大学の先輩・松山英樹(28)=LEXUS=と同じく大学4年でプロの道を歩み出す。

 世界最強アマが、ついに大学生プロとなる。複数のツアー関係者によると、金谷はプロとして日本オープンの出場登録を済ませたという。日本男子ゴルフ界期待の22歳は3度のローアマを獲得するなど、思い出深い国内最高峰のメジャーからプロのキャリアをスタートする。アマ最終戦となった9月のメジャー、全米オープン前に「アマとして残された時間は少ない」と早期のプロ転向を示唆していた。

 昨年11月の三井住友―優勝で国内ツアーの2年シードを獲得しており、プロ転向を宣言すればツアーへのほぼフル参戦が可能になる。海外志向が強く、昨年は「欧州でやっていきたい」と欧州ツアーでのプロ転向を思い描いていた。だが、新型コロナウイルスの影響で今年の欧州ツアー予選会が開催中止に。国内のアマ大会も軒並み中止で、国内でのプロ転向を決意した。

 回り道も経験した。高校卒業後にプロを志望も、16年12月の最終予選会を通過できずに東北福祉大へ進学。4年間腕を磨き、日本人アマ初の海外メジャー3大会出場を果たした。今年9月、世界NO1のアマゴルファーに与えられる「マーク・マコーマックメダル」も日本人初受賞。同時に獲得した21年の全米オープンなどメジャー2大会の切符はアマとしての出場が条件のため消滅。ただ、昨年12月のオーストラリア・オープン3位で獲得した全英切符はプロ転向後も有効で、来年7月の全英出場は決めている。

 その視界には来年に延期された東京五輪も入る。世界ランクは日本男子9番手の243位だ。来年6月までに複数回優勝できれば大逆転代表入りの可能性も残る。以前から「プロとしての夢は世界ランク1位になること」と話してきた金谷。米女子ツアーで活躍する畑岡奈紗(21)、渋野日向子(21)と同じ1998年度生まれ。「世界一」という同じ大志を持った“黄金世代”が、令和の日本プロゴルフ界を盛り上げる。

 ◆金谷 拓実(かなや・たくみ)1998年5月23日、広島・呉市生まれ。22歳。5歳でゴルフを始め、広島国際学院高2年の日本アマ選手権で17歳51日の大会最年少V。同年の日本オープン11位で大会最年少ローアマ、17年同大会も2位でローアマ獲得。18年アジア・パシフィック選手権で優勝。19年の海外メジャーのマスターズ58位、全英オープンは予選落ち。19年8月、日本男子では松山英樹以来2人目の世界アマランク1位に。東北福祉大ゴルフ部主将。172センチ、73キロ。家族は両親と兄。

 ◆ツアープロへの転向 男子プロの資格を得るには日本プロゴルフ協会(PGA)の資格認定プロテストに合格する必要がある。さらに、日本男子ツアーの出場権を得るには、ツアーを主管する日本ゴルフツアー機構(JGTO)の予選会で上位に入らなければならない。ただし、昨年11月にツアー優勝した金谷は21年度までの出場権を得ており、期間中にプロ転向を宣言すれば、ツアーメンバーとして資格行使が可能。また、プロテストを経ずともPGAには特別入会制度があり、「顕著な成績」を収めた金谷は入会セミナーを受講すれば、トーナメントプレーヤー会員として入会も認められる。

 ◆主な大学生男子プロ 薗田峻輔が09年の明大2年時に予選会で22位となって翌年の出場権を獲得して、プロ転向を宣言。3年時にミズノオープンで初優勝し、1973年のツアー制施行後2人目となる大学生プロとしての優勝を達成。松山英樹は東北福祉大4年の13年4月にプロ転向を宣言。その年4勝を挙げて史上初の「新人賞金王」「大学生賞金王」に輝き、年間獲得賞金もツアー史上3人目の2億円突破を果たした。

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