◆女子プロゴルフツアー メジャー第2戦・日本女子オープン 最終日(4日、福岡・ザ・クラシックGC=6761ヤード、パー72)
首位から出た原英莉花(21)=日本通運=が5バーディー、1ボギーの68で回り通算16アンダーで、昨年6月リゾートトラストレディス以来のツアー2勝目、メジャー初優勝を飾った。尾崎将司(73)のまな弟子は、1998年度生まれの黄金世代では畑岡奈紗(4勝)、渋野日向子(1勝)に続く3人目の国内メジャー制覇。同世代の小祝さくら(22)=ニトリ=は68で12アンダーの2位に終わった。
圧巻のプレーだった。11番、小祝が第2打をピンに絡めた直後、原も「負けてられない」と1メートル弱へ。12番も取り、13番はチップインと3連続バーディーで突き放した。18番はバーディーを逃すも、間髪入れずタップイン。緊張から解放された笑顔でガッツポーズを見せ、会場スタッフらの拍手を受ける中、小祝とハグで健闘をたたえ合った。68で逃げ切り「戦い抜いて満足。メジャーを勝った実感はないけど後から湧いてくるのかな」と誇らしげに語った。
高校1年で尾崎将に弟子入りし、当時は全国的には無名だった。「中学から憧れていた」今大会は6年連続6度目の出場。初出場の15年は12オーバーで予選落ちした。「まぐれで本戦に出て、こんな舞台でいつか勝てる日が来るのか…。難しく感じた」。16、17年に同学年の畑岡奈紗が連覇を飾り「すごいな、としか思わなかったけど今、同じトロフィーを持っているのがうれしい」と感慨に浸った。昨年は5位で予選通過も3日目に腰を痛め52位。その悔しさを晴らした。
昨年6月にツアー初優勝。ジャンボから「2勝目が大事」と繰り返し説かれた原は「長かったように感じるけど、今季の調子だと早い。2勝目をナショナルオープンでできて、自信を持って報告したい」と胸を張った。師匠は「パッティングさえ良くなれば、トップ選手になれる。この緊張感の中、いいプレーができたのもその証拠。女子ゴルフも随分とレベルアップした」と祝福の談話を寄せた。
173センチの長身を生かした豪快なドライバーが持ち味だが、昨季前半はダブルボギーが多く、後半戦は「守りに入っていた」と原。球筋を変えた今季はショットで悩んでいた中、先週ジャンボ邸で「30パット切れないで何がショットだ」と一喝された。師匠の一言で吹っ切れると「自分のプレーは攻める気持ち」と、ツアー最長6761ヤードのコースで持ち味を生かした。
世代3人目のメジャー制覇で3年シードを得て「予選会に挑戦して向こう(米国)で戦うことも考えながら、悩みたい」と、目標の米ツアー進出も視野に入る。「常に上位争いできる強い選手でいたい。奈紗ちゃんとはまだ差があるけど一歩ずつ詰めていきたい」。偉大な師匠の教えを胸に世界を見据えた。(岩原 正幸)
◆英莉花に聞く
―プレー中の心境は。
「6番でボギーがきて、『楽しいな』って。気持ち悪いですよね(笑い)。なんかゴルフっぽい。スイッチが入った」
―同学年の小祝との一騎打ち。
「さくらちゃんとプレーして、ピンに絡むショットを見て、私も果敢にピンを狙った」
―ドライバーショットはもともと曲がらない?
「あ~、曲がってたわ(笑い)。(17年に)最初にプロテスト受けた時にOBを6回打った」
―練習場で素足で打ったりもする。
「中心で打ちたいので、体がブレたくないので取り入れた。(自分は)感覚派かな、理論派ではない」
―ウィニングボールは師匠に?
「そんな、恐れ多くて…」
―ボールに「GET THE CHANCE」と印字されている。
「去年は『MY WAY』でした。今年はチャンスをつかむぞ、ということで」