![1番ティーショットを放つ藤田寛之(カメラ 今西 淳)](https://golf.hochi.co.jp/wp-content/uploads/2020/12/20201203-OHT1I50401-L.jpg)
1番ティーショットを放つ藤田寛之(カメラ 今西 淳)
◆報知新聞社主催 男子プロゴルフツアー 最終戦メジャー 日本シリーズJTカップ 第1日(3日、東京・東京よみうりCC=7023ヤード、パー70)
最年長、51歳5か月の藤田寛之が好スタートを切った。シリーズ17回出場。男の成功者をたたえて、功成り名を遂げた、というが、2010年からの3連覇は56回の歴史でただ一人の偉業となる。この日、藤田は朝の2番目にスタート。1、2番をバーディー、4番でボギーとしたが、5、6番と再びバーディー。2アンダー10位は、プロ生活28年の輝かしいキャリアにふさわしく、そのしたたかさに興奮した。
第1回日本シリーズは東京五輪を1年後に控えた1963年に始まった。時の公式戦のチャンピオン5人が出場。千葉・紫すみれなど2コースを使って行われた。優勝は石井朝夫、2位小野光一、3位戸田藤一郎。その戸田の思い出話だ。この年、戸田は日本オープンで2度目のタイトルを手にし日本シリーズに出場した。48歳。当時の最高齢記録だった。だが、これは彼の快挙のほんのスタートにすぎなかった。関西プロは69年に54歳で6度目の優勝、71年には56歳8か月で7勝目を挙げ、シリーズには3度の出場を果たした。
当時日本は6大公式戦の時代。そのチャンピオンだけの争い。戸田は晩年の2大会は6位に終わったが、関西プロの56歳は日本ゴルフ界の最年長優勝記録。ツアーは制度ができた73年以降の尾崎将司の02年全日空オープンの55歳241日を公認記録としているが、戸田の記録の前ではかすんでいる。
「中盤ショットが突然おかしくなって貯金を使い果たしてしまった。実はドライバーを替えたばかり。上がりで粘れたし厳しい状況でガチガチ我慢でやっている。そういうの好きなんです」。藤田はホールアウト後、屈託がなかった。6年半、コンビを組んだ同世代のキャディー、ブルースさんとは今大会が最後。「今回はここで一番いい思い出を残そうと話し合っている」。今季はシニア競技と掛け持ちしたが、この日、確固とした決意をしていた。「17回目のシリーズは格別な味わいがあった。この雰囲気、この空気、やっぱりここが僕の世界だった。戸田さんですか? 56歳でシリーズに出たんですね。頑張りますよ、僕も」。今大会、勝てば19勝の偉業となる。(ゴルフジャーナリスト)