
通算8アンダーで優勝したチャン・キム(カメラ・相川 和寛)
◆男子プロゴルフツアー 最終戦メジャー 日本シリーズJTカップ最終日(6日、東京・東京よみうりCC=7023ヤード、パー70、報知新聞社主催)
2差3位で出たチャン・キムが逆転で昨年の日本オープンに続くメジャー2勝目、ツアー通算5勝目を挙げた。
米国の飛ばし屋が苦境を乗り越え、ビッグタイトルをつかんだ。コロナ禍で外国人選手は3人だけとなった今大会。その一人、C・キムは、首位に並んでいた最終組の谷原、岩田がパーパットを外し優勝が決まると、18番グリーン近くでT・ペク、G・チャルングンにウォーターシャワーで祝福され「プレーオフになると思ったので信じられない」。日本タイトル2冠を達成し「うれしい。一番気持ちいい」と喜びに浸った。
岩田、谷原、大槻と首位に並んで迎えた16番。2メートル半のパーパットを外し一時後退。「So Bad!」と自らに怒った。だが、出口慎一郎キャディー(37)の「まだイケる」の声を頼りに535ヤードの17番パー5で「イーグル取る」と宣言。第1打をドライバーで342ヤードかっ飛ばし、2オンと昨季ツアーで平均飛距離1位(315・83ヤード)の力を発揮。5メートルのイーグルパットは外すもバーディーで再び首位。18番のパーで後組に重圧をかけた。
今年はコロナ禍で入国制限もあり、9月の国内開幕から2戦は不出場。10月に「少なくてもチャンスがあるなら」と意を決して来日し、11月の三井住友VISA太平洋マスターズ(4位)で今季国内初戦を迎えた。来日後の隔離ではホテルでスイングチェックなど限られたことしかできず、調整に苦労したが、賞金ランク12位で最終戦に出場し「いい成績を収めたかったので良かった」と乗り越えた。
ハワイに住んでいた10代の時に、87年日本ツアー賞金王でメジャー3冠のデビッド・イシイの指導を受けた。恩師の勧めで15年から日本に戦いの場を求め、87年にイシイも制した日本シリーズJTカップで優勝。「知らなかったけど、気持ちがいい」と感慨深げ。恩師に続く、賞金王&国内メジャー3冠へ「ベストを尽くす」。188センチ、102キロ。優勝のご褒美は「450グラムのステーキ」という豪快な男が、来年もツアーを盛り上げる。(宮下 京香)
◆チャン・キム 1990年3月24日、韓国生まれ。30歳。2歳の時に米ハワイ州に移住し、米国国籍を保有する。12歳の時、父の影響でゴルフを始め、10年にプロ転向。アジアツアーなどでプレーし、14年に翌年度の日本ツアーの出場権を懸けた予選会1位になり、15年からツアーに本格参戦。17年に3勝を挙げ、昨年10月の日本オープンで国内メジャー初制覇。188センチ、102キロ。好物は焼き肉。