有村智恵、涙…10年前津波にのまれた宮城の小学校訪問「体育館に流された物が並べられ…思い出してしまいました」


東北高出身の有村智恵は公式会見で涙ながらに思いを語った(JLPGA提供) 

東北高出身の有村智恵は公式会見で涙ながらに思いを語った(JLPGA提供) 

 東日本大震災が発生した「3・11」から10年、ゴルフ界からも選手たちが被災地に思いを寄せた。女子では今年2戦目の明治安田生命レディス(12~14日、高知・土佐CC)前日の11日、宮城・東北高出身で通算14勝の有村智恵(33)=日本HP=が公式会見で涙を見せ、「良い成績を残したい」と誓った。

 被災地への思いを気丈に語っていた有村が泣いた。11年5月、太平洋沿岸部の宮城・山元町にある、東日本大震災で津波にのまれた小学校を訪れた。当時を振り返り「津波がここまで来たという線が自分の背よりも高いところにあって、体育館には流された物が並べられていた。生活用品、ランドセル、アルバム。その光景を見て、きっと生きていてほしいとすごく思った。ちょっと思い出してしまいました」と目頭を押さえた。

 10年前の3・11。有村ら選手たちは今回と同じ会場でツアーの初日を戦っていた。「東北で大きな地震があったという話を聞いて、その夜、部屋に帰ってテレビを見て言葉を失った。こんなことが起きていたのかと衝撃を受けたことをすごく覚えています」。東北高で3年間を過ごした“第二の故郷”を思い、震災直後から率先して義援金寄付や街頭募金活動など支援を行った。

 山元町の山下小には毎年のように慰問に訪れる。最初は子どもたちへの気遣いから震災の話はせず、スナッグゴルフなど一緒に体を動かして時間を共有した。14年頃からは「夢について考える授業をしている」。自身が米ツアー(13~16年途中)で不振に陥り悩んだ時も「東北の子どもたちを思い、自分も頑張らなきゃと思った」といい、「この10年間、活動で出会った人たちに支えられてきた」と感謝した。

 16年4月には熊本・嘉島町の実家で地震に襲われた。社会貢献活動に対し、人一倍強い思いを持つ有村は「ここ(土佐CC)に来るたびに毎年、あの時のことを思い出して少し悲しい気持ちになる。良い成績を残して、良い思い出としてしっかりこのコースを刻みたい」。18年7月以来の優勝を目指し、全力プレーを届ける。(岩原 正幸)

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