世界ランク1位のダスティン・ジョンソン(36)=米国=が、4月8日開幕の男子プロゴルフの21年メジャー初戦、マスターズ(米ジョージア州オーガスタナショナルGC)で史上4人目の大会連覇を目指す。
新型コロナウイルスの影響で大会史上初めて、秋に開催された昨年11月の大会。世界ランク1位で優勝候補筆頭に挙げられた世界屈指の飛ばし屋に、紅葉のオーガスタで“実りの秋”が訪れた。
下馬評通り、初日から首位を快走した。「飛んで曲がらない」ドライバーショットは全体6位の大会平均飛距離306・7ヤードを計測。フェアウェーキープ率は79%で13位、パーオン率も83%で1位と精度も備えた。さらに、キャディーの弟のオースティン氏の助言もあり、雨で例年よりも軟らかくなったグリーンにも対応し、パット数も18位。高い総合力で2位に5打差をつけ、4日間首位を走っての完全優勝だった。
1997年のタイガー・ウッズ(米国)と2015年のジョーダン・スピース(米国)が持っていた大会4日間の最少スコアも2打更新。通算20アンダーと記録的な優勝で、無観客&秋開催の異例の大会にその名を刻んだ。表彰式では、前年覇者のウッズからグリーンジャケットを着せられ「子供の頃からの夢だった。言葉にならない…」と普段、感情を表に出さない男が涙をぬぐった。
21年に入ってからも、その実力を発揮し続けている。1月の米ツアー、セントリーチャンピオンズで11位。2月の欧州ツアー、サウジ国際で優勝。米ツアーのジェネシス招待でも8位と抜群の安定感を誇っている。「オーガスタで勝った後も、僕のゲームはより良いものになっているよ。今年の残りシーズンが本当に楽しみだ。たくさんメジャーで優勝したいね」と、今年は複数メジャー制覇の野望も抱いている。
マスターズは、毎年同じコースで開催される唯一の男子の4大メジャー。開催コースのオーガスタとジョンソンの相性も抜群だ。20年は優勝、19年2位、18年10位、16年4位、15年6位、14年予選落ち。13年13位。つまり、腰痛で欠場した17年大会をはさみ、出場5大会連続でトップ10入りしている。マスターズの大会連覇となれば1965、66年の「帝王」ジャック・ニクラウス(米国)、1989、90年のニック・ファルド(英国)、2001、02年のウッズ以来4人目の快挙となる。“史上最短”約5か月で、自身2着目となるグリーンジャケットに袖を通すか。現状では、優勝候補の筆頭であることは間違いない。
◆ダスティン・ジョンソン 1984年6月22日、米サウスカロライナ州コロンビア生まれ。36歳。世界屈指の飛距離が武器。2007年にプロ転向し、米ツアー本格参戦1年目の08年から毎シーズン勝利。通算24勝。ニックネームは名前と名字の頭文字を取った「DJ」。193センチ、86キロ。妻はアイスホッケー界の英雄ウェイン・グレツキー氏の娘パウリナさん。