◆女子プロゴルフツアー ヤマハレディース葛城 第3日(3日、静岡・葛城GC山名C=6564ヤード、パー72)
まだプロテストに合格していない単年登録選手の高木優奈(22)=グランフィールズCC=が1イーグル、4バーディー、3ボギーの69で回り、7位から首位と2打差の3位に浮上した。これまでプロテストに3回不合格となった高木は、下克上で1998年度生まれの「黄金世代」で10人目のツアー優勝を狙う。同じく黄金世代の高橋彩華(22)=東芝=と、山下美夢有(みゆう、19)=加賀電子=が通算9アンダーで首位に並ぶ。
黄金世代の“落第生”が一気に飛躍した。22歳の高木は5番パー5でグリーン右手前から58度のウェッジで15ヤードのチップインイーグルを決めるなど好プレーを連発し、3位に浮上した。「満足できるゴルフができた」と笑顔を見せた。
実家は神奈川・小田原市のお寺。小学生時代は五輪出場も期待された体操選手だったが、左手首を痛めてゴルフに転向した。「今でも悪いショットをすると痛む」と話すが、抜群の身体能力で中学時代に神奈川アマを制するなど頭角を現した。しかし、プロへの入り口で壁にぶつかった。
相洋高を卒業した17年にプロテストを受験。小祝さくらら同学年の黄金世代が一発合格する中、不合格。18、19年も失敗し、昨年はコロナ禍の影響でプロテストが行われなかった。19年からのルール改正により、プロテストに合格した日本女子プロゴルフ協会の会員でなければツアーの優先出場権を争うQT(予選会)に参加できなくなった。だが、高木はプロテストに合格していない選手も参加できた18年のQTで下部ツアー出場権を獲得し、19年の同ツアー・ANAプリンセスカップで優勝。その資格で19年末のQTに参加して43位となり、20―21年シーズンの出場権を獲得した。
“裏街道”で生き残り、ツアー参戦を続ける高木は「今年の目標はプロテスト合格」と言い切った。ただ、ツアー優勝を果たせば、6月のプロテストを免除で日本女子プロ協会の会員になれる。「プロテストの前に優勝できれば一番いいです」と“下克上V”に意欲を示す。裏街道から表舞台で輝く時が来た。(竹内 達朗)
◆高木 優奈(たかぎ・ゆうな)1998年5月13日、神奈川・小田原市生まれ。22歳。ゴルフは11歳から。2017年に相洋高卒業。プロテストは3年連続で不合格ながら、18年のQTで92位となり、ツアー出場権を獲得。19年はレギュラーツアー3戦で全て予選落ち、下部ツアーで1勝。20年はレギュラーツアー初の予選通過となったNEC軽井沢72で自己最高の10位に。今季の賞金ランク88位(436万9000円)。156センチ、55キロ。
■粘って首位…高橋
第1打を左に曲げることもあったが、粘りのゴルフでパーを重ね、3バーディー、1ボギーの70で首位に浮上。「厳しい展開でしたが、耐えてアンダーパーで回れた」とうなずいた。新潟・開志国際高3年時に日本女子アマを制するなど黄金世代の中でもエリート街道を歩んできた。19年はニチレイレディスで2位になるなど賞金ランク19位と躍進。先週のアクサレディスでも3位。「やるべきことに集中します」ときっぱり。初優勝&黄金世代10人目の優勝へ機は熟した。