◆米女子プロゴルフ オーガスタナショナル女子アマ選手権 最終日(3日、米ジョージア州・オーガスタナショナルGC)
2打差5位から出た梶谷翼(17)=兵庫・滝川二高3年=が逆転で、日本勢で大会初優勝の快挙を達成した。3バーディー、1ボギー、1ダブルボギーの72で回り、通算1オーバーで並んだエミリア・ミリアッチョ(21)=米国=とのプレーオフを1ホール目で制した。男子のメジャー、マスターズが翌週行われる夢の舞台で渋野日向子(22)=サントリー=の“妹分”が歓喜の涙を流した。上野菜々子(20)=東海大大阪仰星高卒=は78で9オーバーの19位。
18番で行われたプレーオフ1ホール目。1メートルのパーパットを沈めた梶谷がオーガスタの「2代目アマ女王」となった。右拳を握り、「緊張したけど、最後まで何があっても楽しむと決めていた。めっちゃうれしい」と、インタビューで大粒の涙がこぼれた。
混戦の中、17番でダブルボギー。最終ホールを前に気持ちは乱れたが、キャディーに「一打一打を大事に」と言われ持ち直した。1打目を曲げた18番はピンをかすめた会心の第3打からパーセーブ。世界屈指の名門コースで力を出し切った。
昨年12月には左足首のじん帯を痛めた影響で約1か月クラブを握れなかった。指導する青木翔コーチ(38)は「黙って努力し続ける子。涙はいろんな感情があふれたと思う」とたたえた。梶谷は「一日1000球打って自信をつけた」。昨年まで青木門下生だった渋野はインスタグラムで「つー(愛称)、おめでとう。かっこいい、さいこー!」と祝福した。
梶谷は「渋野さんが全英で勝つ前から、私も世界で活躍したいと思っていた」と、以前から強い海外志向を抱いていた。「今まで(2012年以前は)オーガスタで女性は回れなかったが、そういう機会をくださってうれしい。勝ちたいと思っていた」。前回(19年)の安田祐香、笹生優花の3位を上回った。昨年はコロナ禍で中止となり、2年越しで夢をかなえた17歳は「オーガスタは憧れ。目標が実現して率直にうれしい。日本人、アジア人初というのも」と笑った。
6月の全米女子オープン、8月のAIG全英女子オープンとメジャー切符を手に入れ、渋野と同じ舞台に立つ。今年の目標は日本女子アマのタイトルと秋のプロテスト合格。世界を驚かせた新星は「今はうれしい気持ちを楽しみたい」と誇らしげにカップを見つめた。
▽生まれ、サイズ 2003年9月12日、岡山市生まれ。17歳。家族は両親と弟。160センチ、62キロ。
▽ゴルフ歴 7歳で両親の影響で競技を始める。年代別で争う世界ジュニア選手権で12、15、16年に優勝。17年に全国中学校選手権制覇。滝川二高1年時の19年日本ジュニア優勝、日本女子オープンでアマ最高の9位。大会前の世界アマランクは26位。
▽最年少 中1の13歳17日で16年日本女子オープンに大会最年少出場を果たす。今回もオーガスタナショナルGCで優勝した初の10代選手に。
▽名前の由来 人気サッカー漫画「キャプテン翼」の主人公から。「世界で羽ばたく選手になってほしい」(父)との願いが込められた。
▽強心臓 19年トヨタジュニア(愛知)では「国際試合は慣れているので全然緊張しません」と強気。右手首痛を抱えながらも最終日に68で団体2連覇に貢献した。
▽目標 「プロになって賞金女王になりたい」。憧れの選手はロリー・マキロイ(英国)。