9年目0勝29歳・木下稜介「松山スイング」で初の首位発進…高校から仲良し同い年がお手本


8番、セカンドショットを放つ木下稜。6アンダーで首位発進した(カメラ・岩崎 龍一)

8番、セカンドショットを放つ木下稜。6アンダーで首位発進した(カメラ・岩崎 龍一)

◆日本男子プロゴルフツアー ▽東建ホームメイトカップ 第1日(15日、三重・東建多度CC名古屋C=7081ヤード、パー71)

 プロ9年目で未勝利の木下稜介(29)=ハートランド=が6バーディー、ボギーなしの6アンダー、65で回り、ツアー通算88戦目で自身初の首位発進を決めた。マスターズ王者となった同学年の松山英樹(29)と高校時代から親しく、このオフに“松山式スイング”に改造して、過去5戦全て予選落ちだった鬼門のコースで、21年初戦の初日に初優勝に向けて絶好の滑り出しとなった。ツアー2勝の“黄金ルーキー”金谷拓実(22)=フリー=は2打差の5位。

 マスターズ王者を彷彿(ほうふつ)させる安定感抜群のショットで、木下稜が6バーディーを量産した。前半、2つのパー5で着実にスコアを伸ばすと3番で5アイアンでピン上7メートル、4番は5メートル、5番は2メートル、8番は1メートルにつけてリーダーボードの頂点へ駆け上がった。無観客の21年初戦で自己最高のスタート。「スタートホールはすごい緊張していたんですけど、ショットもパットも非常にいい状態でした」と、胸を張った。

 右から左へ曲がる弾道のドローヒッターで、昨年までは重圧のかかる大事な場面で、「左に大きく曲げるミス」が出ていた。今大会は「コースとの相性が良くなくて」と、初出場した14年以降5度出場して全て予選落ち。苦手意識があったが、今オフに取り組んだスイング改造の成果で一変した。

 転機は今年1月。米ツアーに初出場した際、同じ四国にある高校時代から仲の良かった同学年の松山と一緒に練習ラウンド(R)し、ショットの動画を撮影させてもらった。それを見ながら「ダウンスイングを変えた。手を使ってしまっていたので、腰をしっかり回して運ぶ感じに。75%くらいまでできてきました」と、“松山式”で、より精度の高いショットを手に入れた。

 前週のマスターズ最終日はテレビ観戦した。「ずっと応援していました。勝った瞬間は自然と涙が出て心からうれしかった」と、10年以上親交のある松山の歴史的快挙を祝福。LINEを送るとすぐに返信が届いた。「これからお願いします」と、自身初メジャーとなる7月の全英オープンでも松山に練習Rを頼む予定だ。

 奥嶋誠昭コーチの門下生で、妹弟子の稲見萌寧(21)は今年、国内女子ツアーで3勝を挙げて大ブレイク中。「僕も今年は3勝が目標。開幕戦からスタートダッシュが切れるように。早めに勝ちたい」と木下稜。21年最初の王者となって、盟友に良いニュースを届ける。(榎本 友一)

 ◆木下 稜介(きのした・りょうすけ)1991年7月16日、奈良・北葛城郡生まれ。29歳。10歳からゴルフを始め、香川西高時代の2009年全国高校選手権2位。大阪学院大4年時に朝日杯日本学生優勝。14年にプロデビューし、ダンロップ・スリクソン福島オープンで自己最高の2位。18年に54位で初の賞金シード入りし、19年は自己最高の賞金ランク34位。昨年6戦中4度のトップ10入りで、今季は賞金ランク9位につけている。174センチ、78キロ。

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